2024年12月23日(月)

実践者・中村龍太が考える「カシコイ副業」

2018年4月6日

 今回で第七回。文章を書くのが嫌いな僕にとっては、結構、頑張った感じ。この六回を通して、僕は「カシコイ複業は、好き興味の延長……お金だけのためではなく、いろんなものを得るもの」と共感してくれる人もいたが、後付けしたような物言い……しっくりこない。

 そんなとき、今年も楽しみにしていたNHKの番組「欲望の資本主義2018」を見た。世界の権威ある学者が、「イノベーションは生産性を高めるものではない」、「フェイスブックを楽しむ人が多い。生活の質に影響を与えているが、統計的には反映されてない」と……。どちらも、鋭いメッセージだ。なぜなら、この世の中にすごく大きな影響を及ぼしていることが、資本主義の基準“お金”というもので表現できないということ。次の世代の資本主義は、何をもたらしてくるのか。

中村龍太(複業家・ポートフォリオワーカー) 1964年広島県生まれ。大学卒業後、1986年に日本電気入社。1997年マイクロソフトに転職し、いくつもの新規事業の立ち上げに従事。2013 年、サイボウズとダンクソフトに同時に転職、複業を開始。さらに、2015 年には NKアグリの提携社員として就農。現在は、サイボウズ、NKアグリ、コラボワークのポートフォリオワーカー。2016年「働き方改革に関する総理と現場との意見交換会」で副業の実態を説明した複業のエバンジェリストとして活躍中。

これからはプレイヤーの時代

 さて、働く人という言葉を英語で表現すると3つある。レイバー、ワーカー、プレイヤーだ。レイバーは、自分の肉体的な労働力を提供し、その対価としての給料をもらい生活する者。レイバーは、産業革命以降、機械化され急速に減少した。特に第一次産業のレイバーは失業をした。それに取って代ったのがワーカーだ。ワーカーは、組みあげた仕組みの中で作業をする人たち、機械と人の分業……そして組織の中での分業。それぞれ決められた仕事のルーチンワークをする者だ。

 レイバーもワーカーも、今となっては、どちらもお金、生活のために対価をもらって、やらされている働き方が表面化してきた。プレイヤーは、他人から命じられて仕事をやらされるのではなく、自分の好きや強みを生かし、やりがいをもって仕事をしている者といわれている。プロスポーツ選手、自立した芸術・建築家、プロの経営者など……今は、少数派でかっこいい職業だ。

 産業革命後、レイバーの受け皿がワーカーになったように、未来において、ワーカーがAI(人工知能)やロボットで代替えされたときの受け皿がプレイヤーとすれば、どうだろう。僕が言ってきた、好きなことの延長線上で、できることを提供しプレイヤーとして働く仕事は、その兆候としてとらえられるかもしれない。

 えっ、副業の一つとしてのプレイヤーの兆候ってなに? わかりやすい例がYouTuber……自分の好きなことの延長の「コト」をネットに上げ、インターネットの力を借りて、世界中の自分の好きなことに興味のある人とマッチング……ある一定以上の動画が再生されるとお金が入るしくみ。有名YouTuberが連想されるが、僕が昨日行った床屋さんの店長でさえ、カットをネットに上げていくらか収入を得ているYouTuber。まさに、プレイヤーだ!


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