2024年12月22日(日)

実践者・中村龍太が考える「カシコイ副業」

2017年12月14日

 国語が嫌いで文章を書くことも苦手な自分。小学校の時は5段階評価の「2」である。2013年10月に、サイボウズとダンクソフトという2つの会社に同時転職をし、さまざまな副業をへて5年目。この間に本当に多くのメディアに「副業」を取材された。

中村龍太(複業家・ポートフォリオワーカー) 1964年広島県生まれ。大学卒業後、1986年に日本電気入社。1997年マイクロソフトに転職し、いくつもの新規事業の立ち上げに従事。2013 年、サイボウズとダンクソフトに同時に転職、複業を開始。さらに、2015 年には NKアグリの提携社員として就農。現在は、サイボウズ、NKアグリ、コラボワークのポートフォリオワーカー。2016年「働き方改革に関する総理と現場との意見交換会」で副業の実態を説明した複業のエバンジェリストとして活躍中。

僕にとっての「副業」とは

 「農家x IT企業」という、ナンチャッテ農業をしていたご縁でお友達になった農業ジャーナリストの窪田新之助さんと、今年8月にパエリアを一緒に食べている時にふと、「副業について本を出してみたいんだよね」と言ったことがきっかけで、Wedgeさんを紹介された。そもそも自分で書くことは想定していなかったのに、今、こうしてタイピングをしている。うまく書けるのか、不安にもなるが、Wedgeさんは「大丈夫ですよ」と言う。本当か?

 そもそも、本を出してみたかった理由ってなんだったろうか。「なんかカッコいいかも」、「自分が経験したことを伝えたい」、「友達も出しているし」、そんな感じだ。たいした理由ではない。でも、なんかつぶやいている自分がいて、このような出会いがある。ただ、Wedgeさんに怒られそうだが、正直、たいした金額ではない。

 昔の僕だったら、「お断りします」と言っていたかもしれない。こんな生意気なことを言っていると、Wedgeさんから、「やっぱり、記事になりません」と言われるかもしれないが、そこはどう自分を納得させるか……やっぱり実力、スキルがなかったのね、で良いと思う自分。ここに「書いて欲しいという人」がいる、そしてその機会を自分がどう選択するか、もし、うまくいかなかったとしても、失うものがなければ、または、小さければ、やりたいという意識の方が高ければ、まずはやってみる。それが、僕の副業のようだ。

以前の僕が「副業」をしなかった理由

 では、2013年より以前、なぜ、僕は副業をしなかったのだろうか。そもそも2つの会社に転職する前は、マイクロソフトという外資系の会社。辞める直前は営業職をしており、外資系によくある毎年倍々ゲームの高い目標を与えられ、それを達成することに邁進していた。他のことを考えさせるような隙を与えられず、まっしぐらに、会社に与えられたやるべきことをこなす日々。読者の中のサラリーマンのみなさんは、どうだろう。高い目標かどうかは別として、やるべきことに注力し、失敗は許されず、出来て当たり前。そのような会社は結構あるはずだ。

 話を戻すが、僕はなぜ高い目標を達成するために、めちゃくちゃ頑張って働いていたのだろうか? 「子供の教育費が必要だから」、「家のローンを払わないといけないから」、「将来が不安だから」。とにかくお金のために働いていた。会社で自分の居場所を見つけるために、つらい仕事も受け入れた。その仕事が成長を促すと後で意味づけする自分がいた。実際に成長したところもありそれはそれで否定はしないが……それはまるでノミの実験のようだ。


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