8月3日、第3次安倍再改造内閣が発足。新内閣では働き方改革の担当相が新設された。安倍晋三首相は会見で「最大のチャレンジは『働き方改革』」とGDP(国内総生産)600兆円達成への強い意気込みを語った。GDPを上昇させるためには、働き方改革で高齢者や女性など、働く人の数を増やすと同時に、1人当たりの労働生産性を高める必要がある。付加価値の高い新規事業の創出も必要だ。
それは企業にとっても同様の課題だ。
「ITの進化によって事業は短命化しており、各企業は短期で非連続な新規事業を生み出さなければならない。経営者は共通してイノベーション、次世代リーダーの育成、労働生産性の向上に悩んでいる」と、転職サイト「リクナビNEXT」の藤井薫編集長は語る。
日本では長らく、社員を終身雇用して経験を積ませることで、生産性や競争力を高めてきた製造業が産業の中心だった。しかしモノづくりの現場が新興国に移り、ITによる産業構造の変化が起きたことで、経験の蓄積を1つの優良なアイディアが勝るようになった。
そうした中、注目され始めているのが「副業」だ。副業に詳しい東京大学大学院経済学研究科の柳川範之教授のもとにも「経団連所属の大企業の担当者から副業に関する問い合わせが増えている」という。
今年2月、ロート製薬が社員の副業を認める「社外チャレンジワーク制度」の導入を発表すると大きな話題となった。同社では入社3年目以降の国内正社員全員が対象で、競業他社を利するようなものでなければ人事部への申請の後、副業が許可される。「新しい事業を生み出すには『多様性』が大きなキーワード。過去の成功体験だけでなく別の価値観が必要だ。各企業はこれまで社内異動でそれを得ようとしてきたが、限界がきた」と広報・CSV推進部の矢倉芳夫副部長は制度導入の背景を語る。