2024年12月22日(日)

坂本幸雄の漂流ものづくり大国の治し方

2016年8月5日

Fuse

 日本企業低迷の一因として「経営者の任期が短い」ことが挙げられる。経営者の任期が短ければ、短期的な成果を求めて企業活動を行うことに繋がりやすく、長期戦略を描くことができない。

 これは企業の長期的な成長力を奪い、結果として業績にも反映してくる。「CEOの任期は2期4年まで」という不文律のようなものが社内にある企業もあると聞くが、そんな考えやルールは今すぐ改めるべきだ。

 「後進に道を譲る」といえば聞こえは良いが、そもそも後進に道を譲る必要があるのかについて考えたい。優秀な経営者を「若返りのため」や「任期が長いから」といった理由で替えて、一体誰が得をするというのか。株主、従業員、顧客……譲られる次期経営者を除いては、デメリットばかりだ。いくら歳を重ねていたとしても、頭脳明晰である限り、「老害」ではない。

 米GEのCEOを約20年にわたって務めたジャック・ウェルチは日本でもよく知られているが、私の所属していた半導体業界でも、古巣のテキサス・インスツルメンツをはじめ、欧米の業績好調な企業はCEOの任期が長い。欧米だけでなく、TSMCなど台湾の企業にもあてはまる。

 業界にもよるが、半導体を例にとれば、CEOが会社を変えるには少なくとも5年はかかる。まず、プロダクトのコンセプトやポートフォリオの変更に1~2年かかり、開発に2~3年を要する。それらが市場で受け入れられるのに2~3年かかるため、短くても5年の歳月が必要となる。


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