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2016年8月26日

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大手企業がヒアリング専業禁止のベンチャー

エンファクトリーの加藤健太社長
(写真・NAONORI KOHIRA)

 「大手インフラ企業の人事担当者が話を聞きに来た」

 生活雑貨のオンライン通販などを手がけるエンファクトリー(東京都渋谷区)の加藤健太社長は、大手企業の副業に対する意識の変化を語る。同社のホームページには「専業禁止!!」という言葉が枠囲みで表示されており、強制ではないが社員に副業を持つことを勧めている。

 副業に対する唯一のルールは「1年に1度、自分がやっている副業について全社員の前で発表すること」だという。「小遣い稼ぎじゃなく、自分で商売をやってみることで経営者の視点が身につく」と加藤社長は語る。

 ソフトウェア開発を行うサイボウズは、副業の申請すら社員に求めず、原則許可している。また、勤務時間と出社日数で区分した9つの働き方を用意しており、社員は自由に選ぶことができる。給与は、転職市場の相場などから独自に算出しており、50歳を過ぎると金額は下がる傾向にある。

 「定年もないが退職金もない。社員にはサイボウズがなくても生きていけるよう自立することを求めている」(同社人事部の松川隆マネジャー)。終身雇用を維持することで社員に忠誠を求めてきた従来の日本企業とは対照的だが、今のところ同社の離職率は4%台にとどまる。

 「1年に1度の新規事業開発プロジェクトへの応募が、15年度は前年度の5倍の100件でした。今年度は200件に届きそうです」

 結婚情報誌『ゼクシィ』などを発行するリクルートマーケティングパートナーズの田中信義経営管理部長は、副業による予想以上の効果を笑顔で話す。同社は12年10月の創業から副業を認めている。15年4月からは働き方を改革し、社員は会社から2時間以内の場所であればどこでもリモートワークが可能となったことで、副業にかける時間が増えた。

 ヤフージャパンも副業を認めている。同社で副業を持つ社員の数は全社員約6000人のうち数百人に上る。「社員の面倒を会社が一生みられるわけではない。社員にも個人として色々な経験を積んで準備をしてほしい、会社はその環境を整えるべきだ」(湯川高康人事部長)と社員のキャリア形成を後押しする。

 副業に対して、日本では否定的に見られてきたが、優秀な人材の採用や、社員の流出を防ぐために、副業を行える環境を整える必要性が出てきた業種もある。ヘッドハンティングを行うプロフェッショナルバンクの高本尊通常務取締役は「ITエンジニアを中心に、副業OKを条件とする転職者が多い」と語る。

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