ITの進化で高まる副業ニーズ
(写真・KOHEI HARA/GETTYIMAGES)
副業が広まる背景にはITの進化がある。インターネットを通じて低コストでビジネスに取り組むことが可能になり、企業の枠にとどまらない働き方を志向する人が増えている。
事業への助言を求めるクライアントとその分野の専門家を、ネットで仲介するビザスク(東京都新宿区)。助言を行うアドバイザーの登録者数は、昨夏の5000人から約2万人に急増した。ほとんどが35歳から45歳のこれまで1つの会社に勤めてきた大手企業の社員だという。「エンジニアから経理や財務の文系職まで、自分の経験が社会に通用するのか試したいという人が多い」(同社広報)。
一方、副業を解禁する上で懸念されるのは副業の成功による人材の流出だ。しかし、副業を促進している企業は一様に「流出するならそれは副業のせいではない」(ヤフーの湯川人事部長)と語る。
前出の藤井編集長は「副業を促進することで、社員は外部の知恵や人脈を得る。副業で自らがやりたいことをやるために本業の時間意識の向上にもつながる」と語る。
「副業については禁止も推奨もしていない。制度を変えるつもりもいまのところない」(NTT広報)と、まだまだ副業に対して積極的な企業は少ない。ただし、「労働契約から外れた私生活は自由が原則。副業は、本業と競業したり信用を傷つけたりするなど、合理的な理由がなければ禁止できない」(労働法を専門とする早稲田大学法学部の島田陽一教授)。
一度副業についてフラットに捉えなおし、働き方改革や評価制度改革などとあわせて、検討してみる価値はあるだろう。
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