2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年5月16日

 米国のポンペオ新国務長官は、初の外遊として、就任後直ちにNATO外相理事会に出席した。4月27日にNATO本部において記者団に対して行われた会見の概要を以下に紹介する。

(iStock.com/robynmac/Auris/rep0rter/moodboard)

 NATOは数十年にわたり、米国の安全保障上の国益を支える重要な柱だった。我々の最も重要な二国間パートナーシップのいくつかがNATOの中に含まれている。NATO条約第5条が定める集団防衛への米国のコミットメントは確固たるものとして続く。

 我々が対処すべき共通の脅威の源は多数ある。我々の集団防衛は、負担の分担の拡大を求めている。2014年のウェールズでの首脳会議で、全NATO加盟国は2024年までに国防支出をGDP比2%に引き上げることに合意した。6月に行われる首脳会議までに約束履行の信頼できる計画を提出するか否かは、各加盟国にかかっている。欧州諸国は、安全保障についての責任を持ち、国民に国防支出の義務を果たすことの重要性を納得させ、隣接地域から生じる脅威に対処しなければならない。

 ロシアは、同盟国とパートナー国に対し、軍事的に、そして、西側の民主的組織を損ねるキャンペーンにより脅威を与えている。英国におけるロシア製化学兵器の使用等、ロシアの容認できない行為は、NATOを今までになく不可欠なものとさせている。米国は、ロシアが行動を改め国際法を遵守するまでは、NATOはロシアに対し通常の対応に戻るべきでないと明言してきた。

 トランプ大統領は、テロとの戦いがNATOの重要な焦点であるべきであることも明確にしている。同盟は、北アフリカと中東におけるパートナー諸国とテロとの戦いで協働すべきである。

 NATOの門戸開放政策への米国の支持、加盟希望国への米国の関与は揺るぎない。我々は、加盟希望国がNATOの基準を満たせるよう、二国間およびNATOの枠組みを通じて支援し続ける。6月の首脳会議に向けて次の3つに焦点を当てる。国防費増と負担の分担、NATOの抑止力と防衛力強化、テロとの戦いである。

 韓国と北朝鮮の歴史的首脳会談にも祝意を表したい。トランプ大統領の最大限の圧力作戦がなければここに至ることはなかったであろう。文在寅大統領と金正恩指導者が板門店宣言で完全な非核化について述べたことに勇気づけられる。我々は、宣言を精査している。

 我々の目標は変わらない。我々は、恒久的(注:permanent。通常はcompleteと言うところ)、不可逆的、検証可能な形で、北朝鮮が大量破壊兵器を遅滞なく破棄することを求める。それまで、世界中からの最大限の圧力が続く。トランプ大統領が言ったように、米国は過去の過ちを繰り返さない。いかなる対話も、国連安保理決議、その他の一切の制裁に取って代わるものではない。

 米国は、同盟国である、韓国、日本と緊密に協力して共同の対処を続ける。北の約束は結構なことだが、透明で検証可能な行動が肝要だ。

出典:Mike Pompeo ‘Remarks at a Press Availability’, U.S. Department of State, April 27, 2018
https://www.state.gov/secretary/remarks/2018/281275.htm


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