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2018年6月21日

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「無人タクシー」の時代は来るのか?

 DeNAと日産自動車の「Easy Ride」のコンセプトムービーでは、無人タクシーが外国人観光客と英語で会話しておすすめスポットを提案したり、高齢者のドライブや子供の送迎に利用されたりするシーンが描かれている。しかし、既存のタクシーの日常的な利用シーンを置き換えることができなければ、無人タクシーはビジネスとして成立しない。

 安全な移動が可能だという大前提で、便利(どこにでもすぐ来る)で安ければ、顧客が無人タクシーを利用する価値がある。そのため、無人タクシーの会社は大量の自動運転車を所有する必要がある。

 さらに、配車システムが需要予測や効率的な配車を行って、すべての車両の稼働(実車)率を最大化しなければならない。「大量の自動運転車」と「高度な配車システム」、この2つが無人タクシーのビジネスを制する鍵となる。

 無人タクシーは、既存のタクシー産業を破壊するだけでなく、自動車産業にも大きな影響を与えるに違いない。便利で安く移動できる手段があれば、自動車を購入して維持する費用が無駄だという考え方が、さらに広まることが予想できる。

 自動運転車というハードウェアをつくって販売するよりも、それをソフトウェアと組み合わせてサービスとして提供する「モビリティ・アズ・ア・サービス」のほうがビジネスのスケールは大きくなるだろう。ウェイモ(グーグル)は、自動車メーカーではなく、モビリティサービスの会社になることを選択した。

 「無人タクシーの時代は来るのか」という質問は「いつ来るのか」が適切だろう。それは、先に米国や中国に訪れ、日本に来るのはかなり先になるかもしれない。その間に、日本の企業は、自動運転の技術や、新しいモビリティサービスの開発に大きく遅れをとってしまいかねない。

  
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