2024年12月27日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年7月25日

 今回の「日台交流サミット」には、日本の地方議員323人を含む、過去最多となる計500人以上が参加した。日台間の交流の拡大をよく示す事例であると言える。

 頼行政院長は、日米のインド太平洋戦略が台湾の「新南向政策」と方向性を同じくすることを指摘し、日本が「新南向政策」への関与を深め、さらにTPP11への台湾の参加を支援することに期待を示している。中国への経済依存が問題となっている台湾としては、当然の立場である。日本としても、台湾経済の対中依存軽減、台湾の孤立化阻止は、インド太平洋戦略にとって重要であることは、理解していないはずがない。こうした利害の一致に加え、草の根交流を通じた両国民の相互の良好な感情がある。頼行政院長は、「日台交流サミット」においても、2月の花蓮地震の際の日本の各界からの支援に感謝を改めて表明し、最近の大阪地震や西日本の水害へのお見舞いを述べた。

 日台関係は利害の一致と国民感情の後押しを受け、経済関係を中心にますます緊密化すると思われる。最近、中国は台湾の若者をターゲットに、学校交流などを通じて台湾人としてのアイデンティティを薄め、中国に親近感を持たせるよう工作しているという。日本政府の政策としてどうこうする類の話ではないが、経済関係に加え日台間の若者の交流がさらに盛んになれば、台湾への心強い支援になろう。それはひいては日本自身のためにもなる。日台間の草の根交流の拡大ぶりを見ると、自然発生的にそういう流れになると期待される。
 

  
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