進む「階層化」
「夫婦の合計年収が2000万円を超えるのを業界ではパワーカップルと呼んでいる。彼らは年収の5倍に相当する1億円のマンションを購入できる。次に32~33歳くらいで年収が1200万~1300万円あるアッパークラスサラリーマンは、7000万~8000万のマンションが買える。この2つのクラスをターゲットにしたマンションは良く売れているが、その下のクラスのマンションは売れ行きが良くない。
しかも、(アッパークラスより上の)彼らは子供の教育にお金を掛けるので、良い大学、一流企業に就職して、良い給料をもらい、高価なマンションを購入できる。つまりマンションの『階層化』が進んでいる」
と指摘する。これを2016年に厚生労働省が行った国民生活基礎調査でみると、年収2000万円以上の世帯は全体の1.3%、約64万世帯存在する。(所得金額別にみた世帯数の割合http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=56482&pno=2?sit)
下の階層から上の階層に上ることは可能だが、久光氏は「その比率は小さくなっている」と説明する。つまり、お金持ちは子供や孫の世代までお金持ちで、所得の低い層はなかなかはい上がれない世の中になっているということで、マンションの「階層化」は日本社会全体の世襲化を体現しているともいえる。
では、所得の低い人はどうしたら住む家をもてるのか。
「リノベーションした中古マンションか戸建てに住むという手がある。リノベした中古マンションなら郊外の戸建てよりさらに1000万円くらい安く買える。いま中古の契約が増えているのはその表れだ」
と指摘する。所得の格差イコール住まいの格差というわけだ。