2024年4月25日(木)

古希バックパッカー海外放浪記

2018年8月16日

不良少年仲間の登場で事態は一気に悪化

ロンドン郊外のローズ・ガーデン

 躊躇していると4人の若者がこちらに向かって足早に歩いて来た。彼らに大声で助けを求めると彼らは大笑いした。彼らはジョーの悪友共であったのだ。ジョーは携帯電話で彼らを呼び寄せたのだ。

 ジョーはすかさず私の自転車のフロントバッグから財布や貴重品の入ったポーチを取り出した。ポーチにはクレジットカード、空港で両替したばかりの100ポンド(=約16500円)、現金13万円、パスポートが入っていた。

 ポーチを取られまいとジョーと揉み合っていると、4人組の2人が後ろから羽交い絞めにしようと肩に手をかけてきた。この瞬間、咄嗟の判断でポーチを放棄して力を抜いた。

咄嗟のリスクマネジメント、最悪の事態は回避

 クレジットカードや現金を取られても別に携行している現金で1カ月くらい旅行は可能と計算した。他方、四人組は悪事に加担するために勇んでやってきたのであるからナイフ等を所持している可能性がある。

 またポーチの中にかなりの金銭があると見込んで欲に眼が眩んでいる。東洋の弱そうな老人が抵抗すれば不良少年特有の集団心理も働いて暴走するであろうと判断したのだ。

 旅の究極の目的は五体満足で帰宅することである。それ以外はエピソードに過ぎない。ポーチを放棄するのは相場の格言で言うところの『見切り千両』である。

 問題はパスポートである。ポーチを放棄する代わりにパスポートだけ返すようにジョーを説得。ジョーはポーチを開けて中に財布が入っていることを確認するとニヤリと表情を緩めた。ジョーは周囲に他に人間がいないことを確認。ポーチからパスポートを取り出して道端に投げた。
それを合図に5人は一目散に住宅地の方向に走り去った。ジョーは自転車だが、他の4人は駆け足だ。


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