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2018年8月31日

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小川たまか (おがわ・たまか)

フリーライター

1980年東京生まれ。教育、働き方、性暴力などを取材。『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』(2018年/タバブックス)。Yahoo!個人「小川たまかのたまたま生きてる」(https://news.yahoo.co.jp/byline/ogawatamaka/)などで執筆。Twitter:@ogawatam

退院時にもメンタルケアは必要

『子どもを持つ親が病気になった時に読む本: 伝え方・暮らし方・お金のこと』(ポーラ・ラウフ,アンナ・ミュリエル 著、慶應義塾大学医学部心理研究グループ  翻訳、創元社)

――病気のために今後の生活や人生設計がどうなるかわからない中で育児も、というのは本当に大変だと想像します。

藤澤:そうですね。心理・社会的なケアが特に必要なタイミングがいくつかあることがわかっています。初めに診断を受けた直後、最初の入院の時、最初の退院の後、病状が大きく変化した時期、終末期です。

――退院は歓迎されることだと思いますが、心のケアが必要な時期なのですね。

藤澤:意外に思われますがそうなのです。患者さんのご家族や周囲の人からは、治療が一段落して良かったねって思われますが、実際は、入院中のように心配事があったらすぐに医療者に相談できる、という状況でなくなりますし、自分の病気のことだけでなく、家事や仕事や育児など、生活と闘病を両立していかなくてはならないのです。

――病気の前と同じというわけにはいかない。

藤澤:入院前に比べて体力も落ちています。入院前と同じ量の育児や仕事があるけれど、パフォーマンスは以前より数十パーセント減。どうしたらいいのか。そういうのを相談できる人がいないんですね。

闘病中、闘病後の親に必要な言葉は「頼っていい」

本書では、章ごとに「病気について子どもに話すこと」「『ママは死んでしまうの?』と聞かれたら」「あなたの症状が子どもに与える影響」など、具体的な悩みと助言が並んでいる。「学校からの支援」「経済的なこと、法的手続き」「遺伝子検査~子どもの視点から~」など、人に相談しづらいけれど、生活の上で必要な情報もある。

特筆すべきは、第一章が「はじめて診断を受けた時~サポート体制を整える~」であること。原書と順番を入れ替えたといい、病を抱えた親には周囲のサポートが必要という藤澤さんの思いが込められている。

――本書の最初に、サポート体制が必要だから、親族や知人など周囲に頼りましょうと書いています。これは、本当にそうだなぁと思いました。迷惑をかけてはいけないという気持ちが先に立ち、なんでも自分たちだけで乗り切ろうとなりがちなのではと思います。

藤澤:おっしゃる通りですね。病気のことはあまりおおっぴらに話すものではないという感覚もありますし、相手に心配をかけたくないから話せない、ということもありますね。

――プライベートな事情だから、と。

藤澤:友達や仕事の同僚などに話すことで、その人たちとの関係性がこれまでと変わってしまう心配をする人もいます。杞憂なこともありますが、残念ながら、実際に傷ついた体験をされた方もいらっしゃいます。ですので、なんでもただオープンにすればいいというわけではありませんが、自分が何に困っていて周りの人からどのような手助けや配慮がもらえるとありがたいかを具体的に考えることが重要です。その最初の一歩として、「周りに頼っていいんだ」と背中を押してあげることが大切と考えています。

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