台風21号の影響で関西国際空港の復旧のメドが立たない中で、関空発着便を持っている航空各社は対応に追われている。日本航空(JAL)は関空発着の国際便が飛べないため、5日から成田空港発着の臨時便を飛ばして予約客をさばこうとしている。
一方、全日空(ANA)は国際線の予約客は羽田、成田空港に移動してもらい、別の便による振替輸送で目的地に行ってもらう方法を取っている。国内線の予約客は両社とも大阪(伊丹)空港に移動してもらい、同空港から国内便に乗り継ぐよう誘導している。
JALは同日、台北、ホノルル、ロサンゼルスから関空に帰る予定だった予約客を対象に、6日まで成田着の臨時便を4便飛ばすことを決定した。内訳は台北とロサンゼルスはそれぞれ1便、ホノルルは2便となっている。ホノルルから2便を飛ばすのは、JAL便の利用客の多いハワイ旅行の日本人観光客を重視していることの表れだ。
A380でJALの牙城ホノルル便を狙うANA
来年春からANAが大型機(A380)を東京―ホノルル間に就航させることにしており、これを意識した対応のようにも見える。また、関空から台北、ホノルル、ロサンゼルスに行く予定だった客を乗せた臨時便を明日以降に成田から飛ばすことにしている。JALは関空からバンコク、上海便を就航させているが、これについて臨時便を出すかどうかは決めていない。昨日、関空に到着する予定だったJALの国際便3便は、名古屋と福岡に目的地を変更した。
ANAは臨時便を出す予定はないそうで、関空発のシンガポール、上海、北京、香港などに向かう便は羽田か成田空港発の便で振替輸送するという。両社ともに、臨時便、振替便は基本的には別途料金は取らないことにしている。
関西国際空港は3500メートルと4000メートルの2本の滑走路を持ち、24時間運用できることからこの数年は国際線を中心に旅客数が伸びてきた。国際線旅客便の推移を見ると、今年の夏は関空から毎週1219便の国際線が飛ぶ中で、LCC(格安航空)が472便(38.7%)を占めるなど、LCCの多いのが特長になっていた。特に東南アジアからのLCC便がこの数年大幅に増え、これがインバウンド(訪日外国人)増加をもたらしていた。
だが、今回の台風による思わぬ重大被害で、国際線への悪影響は避けられず各社は運行停止や減便を強いられそうだ。これが長期化するようなことになれば、関空発着で飛ばしている航空会社は路線の変更を迫られることになりそうだ。
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