2024年11月22日(金)

したたか者の流儀

2018年9月20日

ニッチな貸し出し先を探していたスルガ銀行

 むしろ、往時スルガ銀行は勇敢に自らの能力でニッチな貸し出し先の開拓に努力していたと記憶する。たとえば、女性の看護師の貸し出しリスクが低いのを発見し、果敢にこの層に与信したのはスルガ銀行だった。

 本邦上場企業の過半が事実上無借金となる過程で、メガバンクまで住宅ローンなど個人ビジネスに傾斜していったが、既に800万戸以上の住戸が空き家となり、こちらのビジネスも先細りだろう。かといって、ベンチャー企業にお金を貸すなど全くの暴挙だという風土のなか、発生したのが「スルガ銀行・カボチャの馬車」事件だ。

 個人の住宅ローンであれば変動金利で1%程度のであろう。事業用不動産を担保にするので金利は4%近くになるのだろうか。事業であるから、シェア・ハウスとはいえ借家人が入らなければ破綻するので、それもよしとしよう。

 しかし、私の場合には、資産を開示してそのうちにごく一部の金額を融資してはどうか? という話だ。ある銀行では、不動産担保ローンはやっていないが、近くの大手信託と全く同じロゴのローン会社がやっていると教えてくれ、門前払いにあったこともある。

 このローン会社では、担保を取りながらその費用が高額の上、サラ金の金利に近いものが適用されると教えてくれたが、一応お茶もいただくことができた。

 不謹慎だが年老いた親がお金を残すに違いないし、繰り返すが賃貸マンションもあり、株券やその他の資産もあるので、1000万円くらい住宅ローン金利並みでお金が借りられれば、あれも買えるし、こんな旅行をできる。それにもかかわらず「それはできない」と、頑なであるのが日本の銀行だ。

 ベンチャービジネスの成否を値踏して融資を求めているのでなく、担保十分で立派な市民が1000万円借りたいといっているだけだった。

 これができれば、不発の個人消費にも火をつけられるのに怒っていたところ、“賢者は同じこと考える”のだろう。

 メガバンクの一角が、人工頭脳(AI)で判定した個人の信用ランキングで、私が希望するような低利目的フリーの融資ができるようになると出ていた。今度は、この方式での大競争になるに違いない。AIなので動き出したら早い。さすれば消費拡大で黒田総裁も一安心で“出口”を語れるかな。

  
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