東京大学との共同研究は引き算でなく足し算の感覚で
今年の7月に東京大学、光吉・鄭研究室と人事・人材活用領域における汎用AIの共同研究開始についての発表がありました。(『ZENKIGEN、東京大学 光吉・鄭研究室と人事・人材活用領域における汎用AIの共同研究を開始、大手企業数社と業務提携を締結』)
AIで人を判断するの? という引き算的発想からこの共同研究をしている訳でなく、同社の社名の由来でもある「多くの大人が全機現する社会は幸せな社会」に向けて、一人ひとりの活躍や成長の可能性を広げる「足し算」の発想から参画していると野澤さんは話します。
WHOの推計では、日本でうつ病に苦しむ人が500万人を超えています。働く世代のメンタル低下による職場離脱は多くの企業に共通する問題であり、その大半の原因は上司部下の関係から生じている。このうち200万人が普通に働ける状況に改善できたとしたら大きな社会的意義となる、さらに隠れメンタル低下、上司部下の問題で生産性が低くなっている労働人口がイキイキ働ける環境があれば、前述の2030年問題は解消できるのでは? と野澤さんは感じています。
東大の中でも道徳研究の第一人者の鄭教授、光吉准教授と組むことで、道徳観ある企業体が増える仕組みをここ数年で世の中にリリースできるように共同研究を進めています。また、この研究に賛同いただいた大手企業8社も参画いただいています(東京大学 道徳感情数理工学研究室HP』)
- 求職者と企業・職業とのマッチング精度を高めるAI採用
- 個人の特性や上司や仲間との相性を考慮した適材適所の配置支援
- 潜在的なメンタルの低下を早期に発見・対処できる離脱予防
- 道徳性や共感性の成熟度を考慮した管理職昇格時のアセスメント
人事・人材活用領域では、潜在的で一見わかりにくく、人の力だけではどうしようもない問題が数多く存在します。こうした現状に、上記のようなテクノロジーを用いた課題解決を実現し、人に寄り添い、会社、組織、チームそして個人がイキイキできる職場環境の創出を目指す野澤さん。さらに、採用に関わるコスト(労力・時間・お金)を低減し、会社に所属するみんなが適材適所で働くことができる、そのためのAIの活用を展望しています。今後10年のうちに、部長やマネージャーなど管理する立場の人たちの道徳次元を引きあげることで、組織の育成環境が好転する、そんな時代が来る予感がしました。
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