弘法大師空海が、密教の教えを学ぶため唐に渡ったのは、今から1200年ほど前のこと。空海が唐から請来(しょうらい)した絵画や法具をはじめ、空海ゆかりの密教美術の名品が一堂に会する。
国宝「大威徳明王騎牛像(五大明王のうち)」平安時代・承和6(839)年 京都・教王護国寺(東寺)蔵
唐の都、長安で空海が師事した恵果(けいか)が与えた肖像画「真言七祖像」や、現存する最古の「両界曼荼羅図」など、99件の展示品のうちほぼすべてが国宝または重要文化財。日本の密教美術の原点を知ることができる貴重なものばかりだ。
会場の展示は、空海の人物像から、唐での修行時代、帰国後の密教の布教活動、さらに弟子に受け継がれた活動の4つのテーマで構成される。全長約12メートルに及ぶ「聾瞽指帰(ろうこしいき)」など、空海直筆の5件の書も巻頭から巻末まで、期間を分けて展示されており、書家としても名高い空海の多才な一面に触れることができる。
圧巻は、東寺講堂の仏像21体の中から出品された国宝8体によって構成された壮大な“仏像曼荼羅”だ。会場では仏像の間を歩いて曼荼羅の空間を体感できる仕掛けになっているので、密教宇宙の世界に浸ってみたい。
空海と密教美術展
<開催日>2011年7月20日~9月25日
<会場>東京都台東区・東京国立博物館(山手線上野駅下車)
<問>03(5777)8600
http://kukai2011.jp/
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