世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年10月16日

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 トランプ大統領にはロシアのプーチン大統領に個人的な共感を抱いているのではないかとの疑いが常につきまとうが、米国の対ロ政策は常に強硬策で一貫している。今回の措置も、その文脈に沿った内容となっている。さらに大きな象徴的意味合いも見て取れる。トランプ政権は、国家安全保障戦略、国防戦略、核戦略、サイバー戦略等、あらゆる戦略文書において、中国とロシアを競争相手と名指ししている。今回の措置では、中国軍の中枢にロシアとの関係を理由に厳しい制裁が科された。実効性のほどははっきりしないが、少なくとも、米国の中ロに対する強い姿勢を示すエピソードが、もう一つ加わったと見ることはできよう。

 他方、S400をめぐっては厄介な問題も持ち上がっている。それは、インドによるS400のロシアからの購入である。10月5日、ニューデリーでモディ首相とプーチン大統領が会談をして、S400の購入契約に調印したという。インドは伝統的に、旧ソ連、ロシアから武器を調達してきた。トランプ政権はインドのS400購入に反対し、CAATSA制裁に基づく制裁を示唆、米国製の防空システムを購入するよう促してきた。しかし、インドは「インド太平洋戦略」の要となる国である。インド太平洋戦略は、いうまでもなく対中戦略である。インドを中国と同様に制裁の対象にすべきか難しい判断を迫られるであろう。S400をめぐる米国のインドへの対処ぶりが、米国のインド太平洋戦略の未来を占う一つのメルクマールともなり得るかもしれない。

  
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