トランプ米大統領は9月20日、新たな大統領令を発し、昨年8月に成立した「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」に基づき、対ロ制裁を強化した。今回は、ロシアから装備品を購入したということで、中国人民解放軍の「装備発展部」(兵器の開発と調達を担当)とそのトップを対象に加えたことで、注目を集めた。
米国務省は、概要を次の通り発表している。
第一に、米国務長官は33の個人と団体を、CAATSA第231項が定めるロシア政府の防衛・諜報部門に属しあるいはそれらのために働いている「特定人物リスト」に、追加した。リストに掲載された「特定人物」は72に増える。彼らと故意に重要な取引をした者は、CAATSA第231項により制裁を科されることになる。
第二に、米国務長官は中国の「装備発展部」とその長、李尚福部長に対し、「特定人物リスト」に掲載されている人物と重要な取引をした容疑で、制裁を科する。これらの取引は、ロシアから中国へのSu35型戦闘機とS-400地対空ミサイルの売却を含む。中国は、Su35型戦闘機を2017年12月に、S-400地対空ミサイルを今年1月に購入している。これらの取引は、ロシアの主要武器輸出企業ロスオボロンエクスポルト(Rosoboronexport)との間で行われたものであり、ロスオボロンエクスポルトは、「特定人物リスト」に掲載されている。
国務長官は、CAATSA第235項に定められた制裁措置のうち、以下を「装備発展部」に科する。
・輸出許可証の拒否
・外国為替取引の禁止
・米国の金融システムとの取引禁止
・米国の管轄権内における資産の凍結
・李尚福・装備発展部長に対しては、上記に加え、ビザの拒否
出典:‘CAATSA Section 231: "Addition of 33 Entities and Individuals to the List of Specified Persons and Imposition of Sanctions on the Equipment Development Department"’(Department of States, September 20, 2018)