ぶつ切りにしたものを焼く調理法もあります。こちらは基本的に単なる塩焼きですので、ウナギ臭たっぷりです。
インドネシア語で、揚げ物はゴレン、焼き物はバカルといい、それぞれの名前の前にウナギの地方名がつきます。ジャワ島なら、シダットゴレンとシダットバカル。スラウェシならソギリゴレンとソギリバカルです。いわばウナギ揚げ、焼きウナギといった程度のもので、日本のように特別な料理という意識はまったくないと思います。
ヨーロッパの一部では、古くからウナギは重要なタンパク源として重宝されてきたようです。調理法は数多くありますが、最もポピュラーなのは、長い間じっくり煮込んだシチューや蒸し焼きです。
ウナギの燻製は、空港などでも売っている超高級品ですよね。イギリスでは、ゼリー状にするのが伝統的な調理法です。ぶつ切りにしたウナギをだし汁で煮て、冷やします。シラスウナギをオリーブオイルで炒める調理法もあります。
「ウナギを探してる」というと
なぜか下卑た笑いが……
ウナギ=スタミナがつく食べ物というのは、世界共通の認識だと思います。栄養という意味では、一般の川魚の数倍優秀な食料だと言われています。夏バテ対策にウナギを食べますが、中国でも薬膳に用いられます。
世界中どこの国へ行っても、ウナギを探しているというと、下卑た笑いと意味深なジェスチャーを送ってくる輩がいます。おそらく、ウナギといえば強壮剤と考えているのでしょう。
フィリピンの山の中に棲む原住民は、ウナギをつかまえて、焚き火で炙って燻製にします。それを都市部に持ち込み、米やタバコなどと物々交換しています。町に住むフィリピンの人々は、この燻製を数センチ四方に切り分け、薬として珍重しているようでした。
知られざる
豪快な漁師飯
海外の例を見ていくと、いかに日本人が手間隙かけてウナギの美味しさを引き出してきたのか、理解できると思います。最後に、日本にある珍しい食べ方を紹介します。