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イノベーションの風を読む

2018年10月12日

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新型アプリで自家用車の利用が減少

 フィンランドのヘルシンキでは、住民の約4%の4万人が、2016年10月にMaaS Globalというベンチャー企業が提供を始めた、Whim(ウィム)というスマホアプリを利用しています。MaaS Globalは、Whimのユーザーが移動手段として自家用車を選択する割合が40%から20%に減り、逆に公共交通を利用する割合が48%から74%に増加したと報告しています(2017年9月)。

 Whimには、ルート案内と決済の機能があります。ルート案内には、電車やバスなどの公共交通だけでなく、タクシーやレンタカー、そしてカーシェアリングやバイク(自転車)シェアリングのサービスも含まれています。それらの複数のモビリティサービスの予約や決済を、一括してWhimで行うことができます。

 さらに、お得なパッケージプラン(公共交通の利用は無制限)や、すべてのサービスをほぼ無制限に利用できるプランが用意されています。ヘルシンキでは、それぞれ月額が49ユーロと499ユーロ(タクシーは一回に5kmまで)です。

 MaaS Globalも「自動車の所有の終わり」というスローガンを掲げて、サービス地域の拡大を進めています。すでに英国のウェスト・ミッドランズ州(バーミンガム)でもサービスを開始しており(2017年11月)、アムステルダムとアントワープでも準備を始めています。サービスの事業者との調整が必要なので、地域や都市ごとに利用できるサービスや料金は異なります。

 自動車や自転車などの移動手段をモノとして(販売して)提供するのではなく、サービスとして提供するという概念を、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)と呼んでいます。狭義では、すべてのモビリティサービスを統合して、ルートの検索や決済などをシームレスに行うことができるプラットフォームを指すようです。

 AndroidやiOS(iPhone/iPad)が、色々なスマホアプリを利用するためのプラットフォームであるように、Whimは複数のモビリティサービスをシームレスに利用するためのプラットフォームです。MaaS Globalのような事業者は、MaaSオペレーターと呼ばれています。

 ロサンゼルス市も、Whimと同様のスマホアプリGoLA(ゴーエルエー)を、行政サービスとして2016年から提供しているMaaSオペレーターです。

 GoLAには、モビリティサービスだけでなく、自家用車や自分の自転車やオートバイで移動するという選択肢も表示されます。自家用車はEVなのかハイブリッドなのか、あるいは小型車なのかトラックなのかという登録をしておきます。時間を優先するのか、料金を優先するのか、CO2の排出量が少ないことを優先するのかを選択でき、徒歩で移動する限界の時間が何分なのかなど、かなり細かい条件を設定することができる優れたアプリです。

 

 ロサンゼルス市は、公共交通のサービスプロバイダーでもあります。地下鉄や路面電車(LRT)、そしてバスを基盤とした大量輸送システム(BRT)の充実に力を注いでいます。自動車の交通量を減らすためには、大量輸送ができる公共交通の整備が必要です。ロサンゼルス市は「自動車の所有の終わり」といったスローガンは掲げていませんが、自家用車よりも便利で経済的で快適であれば、人々は自ら自家用車を捨ててモビリティサービスを選択することになるでしょう。


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