2024年11月22日(金)

中東を読み解く

2018年10月15日

“跳ね上がり”の犯行?

 ベイルート筋は失踪事件とブランソン牧師の釈放を「偶然ではない」とし、「釈放は事件の政治決着を米国に頼むための手土産だ」と指摘した。だが、トランプ大統領はこの点について「偶然に重なっただけ」と一切の取引を否定した。

 また大統領は13日放映したCBSテレビとのインタビューで、記者殺害が事実であるなら、「厳罰が待っている」とサウジに厳しい対応を取る考えを明らかにした。しかし、その一方で、サウジに対する1100億ドルに上る武器売却を反故にするつもりはないと語っており、サウジとの関係が決定的に悪化するような措置は取らないだろう。大統領は1両日中にサウジのサルマン国王と電話会談する見通しだ。

 ベイルート筋は米国が水面下で進めている手打ちがトルコ、サウジ両国のメンツが立つようものになるだろうと指摘した。カショギ氏の殺害をなかったことにするには証拠がそろい過ぎている上、サウジの全面否定ではトルコ側が納得しないとし、取り沙汰されているシナリオの1つを明らかにした。

 それによると、両国の「合同作業部会」がまずカショギ氏の死亡を発表。「サウジ人の“跳ね上がり”集団」による犯行のせいにし、行方を追っていたサウジ治安当局と国内の潜伏先で銃撃戦になり、全員が死亡、といったスパイ小説を地で行くようなストーリーが考えられるという。だがこれでは、無理に無理を重ねた隠蔽となり、うまくいかない可能性が強い。


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