2024年12月23日(月)

WEDGE REPORT

2018年9月23日

 ロシアゲート捜査を監督する米司法省のロッド・ローゼンスタイン副長官がトランプ大統領の解任を画策し、政権内の混乱を暴露するため大統領との会話を秘密裏に録音しようと図った“クーデター未遂”が明るみに出た。大統領が同副長官を解任するのは時間の問題と見られ、事件の捜査はピンチに陥った。

ローゼンスタイン副長官(REUTERS/AFLO)

トランプ氏の思うつぼ

 このローゼンスタイン副長官の「反トランプ」の動きは21日付ニューヨーク・タイムズの特ダネだった。他のメディアも一斉に後追いし、大きな騒動となった。ローゼンスタイン副長官は「報道は不正確で間違っている。大統領の解任を求める修正憲法25条の発動をするような根拠は全くない」などとする否定声明を発表、火消しに躍起だ。

 ロシアゲート事件捜査の早期終結を要求するトランプ大統領にとって、モラー特別検察官を監督するローゼンスタイン副長官は「目の上のコブ」。これまでにも何度か、副長官の更迭を検討してきた。大統領は遊説先で「司法省や連邦捜査局(FBI)で起きていることを見てみろ。まだ悪い連中が残っている。司法省にくすぶる悪臭を除去する」と副長官の解任を仄めかした。

 大統領がローゼンスタイン氏に怒っている一番の理由は同氏がホワイトハウスに一切相談することなく、ロシアゲート事件を捜査するモラー特別検察官を任命したことだ。その上、大統領が司法省のトップに据えたセッションズ長官は自ら事件の一端に関わっているとして捜査から外れると宣言し、これまたトランプ氏から連日のように非難され、いじめを受けている。

 トランプ氏にしてみれば、本来は大統領を守る立場にありながら、勝手にその任務を放棄したことは許せない、ということだ。大統領は報道が出た後、側近らに副長官のクビを切るべきか否か、検討を指示したとされ、ワシントン・ポスト紙によると、ローゼンスタイン氏らを信頼していない、と語ったという。

 米メディアは“クーデターの企て”により、大統領がローゼンスタイン副長官を「解任する正当性」を得たとしており、今回の暴露は大統領にとって思うつぼだったろう。副長官が解任されれば、大統領の意向に沿ってロシアゲート事件の捜査に反対する新たな副長官が指名されたり、セッションズ長官が復帰することも十分想定され、モラー特別検察官の捜査が失速する懸念がある。


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