中東を読み解く

2018年10月23日

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後継者争い

 サルマン国王の絶対的な後ろ盾を得ているムハンマド皇太子の立場はこの事件があっても国内的には安泰のように見える。弾圧を強め、ライバルの政敵を拘束するなどして力を奪っているからだ。欧州など海外に逃亡している王子の中には本国に拉致された者もいる、と伝えられている。

 しかし、国王は82歳の高齢で病弱。アルツハイマーが進んでいるという報道もあり、いつ亡くなるかも分からない。もしそうした事態になった場合、これまで沈黙していた王子たちがムハンマド新国王の移行に反旗を翻す可能性は否定できない。

 同紙によると、ムハンマド皇太子に代る後継国王候補として筆頭に挙げられているのは、第3代ファイサル国王の息子であるハリド王子(78)だ。王子は聖地メッカの州知事で、サウド王家の中で尊敬の呼び声が高い。事件後、サルマン国王に命じられてトルコに飛び、事態収拾の道を探った。王子の異母兄弟のツルキ王子はカショギ氏の古くからの友人だとされる。

 一部の王族が支持しているのがロンドンに在住しているサルマン国王の弟、アハメド王子(73)だ。王子は国王と同じ、サウド王家最有力の閨閥である「スデイリ7」の1人。「スデイリ7」は初代国王のアブドルアジズ国王の妻の1人だったスデイリ家出身のハッサン妃が生んだ7人の男子のことである。

 アハメド王子は9月ロンドンで、「イエメン戦争の責任は国王と皇太子にある」といった趣旨の発言をし、一時、反体制派を狂喜させた。しかし、その後すぐにコメントを発表し、発言が誤解されたものであると弁明した。ムハンマド皇太子の報復を恐れたのではないかと見られている。

  
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