「時間感覚」が磨かれた子ほど自立に近づく
手前味噌ですが、現在小6の息子は、小学校に上がる頃には、朝の30分学習を自分で始めて自分で終えられるようになっていました。また、小3の頃には、自分で一日のスケジュールを決めるのが習慣になっていました。親がしていたのは、本人の予定を聞きながら、見やすいようにエクセルで予定表にしてあげるだけのことです。
例えば日曜日の過ごし方として、「6時15分から言葉の学習を1時間」「7時15分から理科のテスト直し」「8時はおやつタイム」「8時半から社会の勉強」「9時45分実験教室に出発。12時45分頃、帰ってくる」「そのあとは午後5時までぼの〜んとタイム(アニメの『ぼのぼの』が好きな息子は、まったりと過ごす時間をこう呼んでいました)」と、本人が教えてくれることを順に打ち込んでいきます。
子どもの一日は、子ども自身のものです。親に管理されるものではありません。今日やらなくてはいけない勉強を終えるには、各科目についてどれくらいの時間が必要で、どんな順番でいつやれば自分が気持ちよく取り組めそうかということを自分で決められれば、「ぼの〜んタイム」が、どこにどれだけ入っていてもかまわないのです。
このように話すと、「いや、でもそれはお父さんが中学受験の専門家だからできるんですよ。普通の子はできませんよ」などと驚かれてしまうのですが、息子も最初は「朝ごはんのあと、何をする?」からはじまったのです。
小さな予定を一つ決めさせてあげることを順番に練習していけば、誰でもできるようになります。これまで何千もの子ども達と関わり、問いかけの力で、成長をお手伝いしてきた経験からも確信しています。どんな子でも、自分から勉強する子になるし、自分から楽しみを見つけ、未来に向かって歩いていける子になるのです。
そのポイントとなるのが、「時間の感覚」です。
子育ては「大変なもの」から「無理なく、楽しく」へ
親御さんのちょっとした言葉かけによって、お子さんが自分で自分の一日の過ごし方を決められるようになったら・・・・・・。
お子さんの自立への道はグッと近づくのではないでしょうか。何よりも、共働きの親御さんにとっては子育てがとてもラクになります。
「子どもが小さいうちは親がついてあげないとダメ」「もっと子どもと過ごす時間を増やしてあげないとかわいそう」
そんな思い込みを一度捨てて、「本当にできるのかしら?」と半信半疑でも、まずは今日から親御さん自身が変わってみましょう。
自立した子に育て、仕事と子育てを無理なく両立させていく。
それが本連載のテーマです。仕事は仕事、子育ては子育てと切り離して考えると、子育てはとてもしんどいものになります。
実はみなさんが仕事で得たスキルは、子育てにとても役立ちます。仕事をしていれば、情報共有やタスク管理、コミュニケーション力や問題解決力などさまざまな能力が問われますよね。粘り強さなどのメンタル力、さまざまな物事に目を向ける探求心、想像力といった知的好奇心も問われます。
それらはすべて、子育てに必要なものです。仕事をしている方は、それだけで子育て上手と言えます。ですから、今すでにみなさんが持っている力をうまく使って、もっと子育てをハッピーなものにしてほしいのです。
そんな思いを込めて綴ったこの連載が一冊の本になりました。連載でお伝えしてきたこと、まだお伝えできていないことも含め、みなさんがハッピーになれるコツを紹介しています。ぜひお読みいただき、今の時代のスタンダード子育てになっていけばと願っています。
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