1回分の治療費がおよそ1000万円
もちろん患者側にリスクはある。Right To Tryを利用する場合、多くが保険適用外となり実費負担となる。正式な治験の場合は製薬会社が費用を負担するケースも多いが、Right To Tryはほとんどが患者側の負担となる。治験には膨大なコストがかかり、薬の価格もその分跳ね上がる傾向にある。すでに承認されている前立腺癌ワクチンの場合、1回分の治療費がおよそ1000万円という高額だ。そして薬が効かなかった場合の補償も受けられない。
それでも承認を待ちながら死を迎えるよりは、承認前でももしかしたら効くかもしれない薬を使いたい、という患者の願いは強い。ガンワクチンは昨年ノーベル賞を受賞した本庶佑氏のオプジーボを例に挙げるまでもなく、現在非常に注目されている分野だ。今回のERCによる投薬が一定の成果を上げれば、もしかしたら日本でもRight To Tryが実現するかもしれない。
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