海野素央の Love Trumps Hate

2019年2月26日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

トランプの足元を見る北朝鮮

 1回目の米朝首脳会談と相違し、トランプ大統領はかなり不利な立場に置かれています。前回の『2回目の米朝首脳会談、トランプの本当の狙い』で述べましたが、トランプ大統領の元顧問弁護士マイケル・コーエン被告が米朝首脳会談の当日、ワシントンで議会証言を行います。コーエン被告は、モスクワにおけるトランプタワー建設計画を含めたロシア疑惑、トランプ一族が経営する「トランプ・オーガニゼーション」のビジネス取引及びトランプ大統領の2人の不倫相手に対する「口止め料」について証言をすると見られています。

 しかもコーエン被告の公聴会は全米で生放送され、そこでトランプ大統領の選挙資金法違反が明らかになるかもしれません。トランプ大統領は、米国のテレビ局がこの公聴会と米朝首脳会談のどちらに多くの時間を割くのかを懸念しています。

 米ワシントン・ポスト紙によれば、コーエン被告の公聴会の後に、米朝首脳会談が開催されます。ということは、北朝鮮には米国内の政治情勢を分析しながら交渉を進めることができるというアドバンテージがあります。

 仮にトランプ大統領の選挙資金法違反が色濃くなった場合、同大統領は米国民の目先をコーエン被告の証言に関するニュースから逸らすために、ベトナムで派手な合意声明を発表する必要性が高まります。

 北朝鮮はこの機運に乗じて、朝鮮戦争における終結宣言を勝ち取るという計算をしているでしょう。いずれにしても、北朝鮮はコーエン被告の公聴会の情報をハノイにある大使館で分析しながら、トランプ大統領との取引を有利に進めていくはずです。北朝鮮が会談場所にダナンよりもハノイを強く主張した本当の理由は、ここにあったのかもしれません。

 北朝鮮はすでにトランプ大統領の足元を見ています。

  
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