Washington Files

2019年3月19日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

オバマとオルークの共通点

 オルーク候補は、すでにバラク・オバマ前大統領やオバマ陣営の元選挙参謀デービッド・プラウフ氏からアドバイスを受けています。同候補が「オバマ再来」に見えるのは、彼の外見のみならず、オバマ前大統領のスタイルをかなり意識しているからです。以下で、2人の共通点を挙げてみましょう。

 まず、メッセージです。オバマ候補(当時)は人種や民族の「融和」を有権者に訴えました。オルーク候補はドナルド・トランプ大統領が人種及び民族を利用して社会の分断を煽っている点に注目し、人種差別、外国人嫌い及び偏見を否定し、融和を呼びかけています。

 国民皆保険や公立大学の授業料無償化を主張する民主社会主義者のサンダース、ハリス及びウォーレン上院議員のメッセージよりも、オルーク候補のそれは幅広い有権者から共感と支持を得る可能性が高いです。

 次にオバマスタイルです。ネットで出馬宣言をした3月14日、オルーク候補はアイオワ州バーリントンのコーヒーショップで、初めて同州の民主党支持者を前にして、熱のこもった演説を行いました。その際、同候補は有権者の前でブレザーとセーターを脱ぎ、ワイシャツの袖をめくって語りかけたのです。ワイシャツの袖をめくる「カジュアル」なスタイルは、正しくオバマスタイルです。

 ちなみにトランプ大統領は、白のワイシャツにカフスボタンをつけ、好んで赤色のネクタイをします。オバマ前大統領やオルーク候補のように、決してワイシャツの袖をめくって演説を行うことはありません。つまり、「フォーマル」なスタイルをとっているのです。

 選挙におけるスタイルは極めて重要です。というのは、支持者に「安心感」「安定感」「信頼感」を与え、それが好感度に繋がるからです。

 メッセージ及びスタイルに加えて、オルーク候補の選挙手法も「オバマ流」といえます。中でも同候補の選挙資金の調達の仕方は、大企業からの大口献金ではなく、個人からの小口献金に依存しています。08年と12年米大統領選挙におけるオバマ前大統領もそうでした。

 もう1点挙げるとすれば、有権者の動員力でしょう。オバマ前大統領と同様、オルーク候補も動員力があるといわれています。

 米メディアによれば、18年米中間選挙における南部テキサス州の投票率は、前回の中間選挙と比較し、18%も上がりました。「オルーク旋風」によって同州の多くの有権者が投票所に出向いたとみられています。

 結局、オルーク候補は「メッセージ力」「スタイル」「選挙資金の調達の仕方」及び「動員力」においてオバマ前大統領と共通点があります。

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