試合開始が4分も遅れてしまった時点で、あの茶番行為が予定調和の演出でなかったことは明らかだろう。楽天の球団関係者は困惑しながら、こう内情を明かす。
「実は鈴木さんがマウンドに登場するのも予定より遅れ、2分ぐらい〝押して〟しまっていた。マウンドに上がる前から鈴木さん側が準備にもたついていたと聞いている。その上、いざフタを開けてみたらマウンドではあんなことをやらかしてしまうんだからシャレにならない。スポンサーさんも、そして我々球団サイドとしても鈴木さん側には『限られた時間なのでスムーズに行きましょう。ご協力をお願い致します』と通達し、先方も了承していた。あれでは明らかな『確信犯』と言われても仕方がない」
複数の関係者によれば、始球式を終えた直後の鈴木さんは通路で「鈴木奈々をよろしくお願いします!」と意気揚々と自己PRしていたという。しかも「ボールが(捕手に)届かなかったので、家に帰って旦那さんとの愛のキャッチボールで、もう1回リベンジをしたいです」などとのろけながらコメントし、結果として遅延行為につながったことには反省の色をまったく見せなかった。
どちらかと言えば〝天然キャラ〟として定着しているだけに本人としても、そのイメージを貫こうと必死のアピールをした結果が、もしかするとあのような茶番劇につながってしまったのかもしれない。ただ、それは見当違いも甚だしく余りにも1人の大人として自覚が足りなさ過ぎる。プロ野球、いやプロスポーツ全体をも冒涜していると言わざるを得ないだろう。
日本球界の始球式を見直す時期に来ているのではないか
前出の球団関係者は自責の念にもかられながら、次のように続ける。
「鈴木さん側には『KY』『炎上』というワードが自らのセールスポイントと考えているフシがあるが、世に中にはやっていいことと悪いことがある。しかし、まさか真剣勝負の場であのような行為を起こすとは想像もできなかった。今回の一件はネット上でダチョウ倶楽部さんや柳沢慎吾さんの過去の始球式が比較対象にされているが、あの方々のケースはすべて『お約束』でちゃんとシナリオ通り。両軍ベンチにも通達済みで尺が延びることは一切なく、試合開始が遅れることも当然ない。そういう意味でも鈴木さん側はさすがに最低限の分別ぐらい、わきまえていると思っていたが……。
今回の騒動ぼっ発は、球界全体に大きな波紋を呼び起こしている。「日本球界の始球式を見直す時期に来ているのではないか」という問題提起にもつながり始めているからだ。