Washington Files

2019年6月3日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

ロサンゼルス・タイムズ

 「トランプ大統領は27日、安倍首相との共同記者会見で、オバマ前大統領が合意したイラン核合意について、これを支持しているバイデン次期大統領候補を批判した。大統領は前日にも、北朝鮮がバイデンを『IQの低いバカ者』とこきおろしたことに同調し、『金正恩労働党委員長はおそらく自らの記録に基づいてそう言っているのだろう。この点で私も同意する』とツイッターに書き込んだが、これは政治的ライバルについて敵対的外国政府の主張にくみしないという外交慣例を破るものだ。しかも、日本の迎賓館での安倍首相との共同記者会見の場でもこうした見解を示したことは、政治的論議の対象になるものであり、本来、緊密な日米関係をたたえるべき親善訪問に影を落とすことになった」

 「北朝鮮が先に短距離ミサイル発射実験を行ったことについても、ボルトン大統領国家安全保障担当補佐官と袂を分かち、『米国民はこれが国連制裁決議違反だと考えているようだが、自分の考えは違う。北朝鮮は核実験も長距離弾道ミサイル発射もしていない』と異なる発言をした。さらに『問題になるとすれば、北のICBM発射実験だ』とも述べたが、これは米国と同盟国である日韓両国とのデカップリング(引き離し)を志向するものだ」

 「これに対し、会見に同席した安倍首相は、金正恩委員長は国連決議に違反したとの立場を繰り返し、ミサイル実験については、日本にとって深刻な脅威であり、きわめて遺憾だと述べる一方、日本人拉致被害者問題解決のため、金委員長と直接会談したいとの希望を表明した」

 「もう一点、日本側との間で緊張材料となったのが、大統領が日米貿易協議問題で『少なくとも日本の議会選挙が予定される8月までは、新たな合意は見合わせる』と述べたことだ。また、『日本や同盟諸国に課している関税をいつまでに撤去するのか』との質問に対しては、なんら具体的なコミットメントはしなかった」

 「それでも安倍首相は、『日米両国は緊密な協力関係を維持しており、トランプ大統領の外交努力に敬意を表したい。大統領には相互不信の殻をこじ開けてもらい、この新しいアプローチを歓迎したい』とも語った」(5月27日、ノア・ビアマン記者)

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