Washington Files

2019年6月3日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

ワシントン・ポスト

 「トランプ大統領が東京入りした翌日26日の日曜日は、安倍首相は午前中はゴルフ場でアメリカ産ビーフのチーズバーガーでもてなし、プレー後は国技館の大相撲観戦に案内、夜は伝統的な炉端焼きレストランで和牛焼肉ディナーを賞味してもらうなど念入りな歓待につとめた。しかし、大統領は同じ日にツイッターで部下のボルトン大統領補佐官を批判し、残忍な北朝鮮独裁者の立場を支持し、異国の地でライバルの民主党政治家を攻撃するなど、歓迎ムードを減殺させる結果となった。さらに翌27日には、安倍首相との共同記者会見の場で、同補佐官や同盟国の日本そしてバイデン前副大統領の見解を無視して金正恩委員長を擁護するなど、前日に続いて外交上の混乱状態を引き起こした。一方の安倍首相は、北朝鮮のミサイル実験を『極めて遺憾』としたものの、大統領との親密さを保ちたいがゆえに、『トランプ大統領は北朝鮮との不信の殻をこじ開けた』と評価するにとどめた」

 「ある意味で今回の訪日では、気乗りしないツーリストと栄誉に浸りたい表彰者としてのトランプをさらけ出したともいえる。たとえば、両国国技館では自分は主役ではなく、たんなる見物者にすぎないことがわかり、相撲観戦中、とくにしゅんとして無表情のままだった。スリッパをはいて土俵に上がり、高さ4フィート、重さ60ポンドの銀製大統領杯を贈呈したときも、表彰状を棒読みするだけだった」

 「つまるところ、トランプはいつも専制君主のようにもてなしてもらい、称賛のスポットライトを浴びることに大喜びする大統領であり、招いた日本側も彼の気まぐれとお好みどおりに旅程をアレンジすることによって、貿易から安全保障までなんとか支持を得ようと努めた。大統領は日本に向かう前、安倍首相から『スーパーボールより何百倍もでかいイベントに招待するから』と口説かれた結果、1カ月の間に2度も日本に行くことになったと報道陣に語っていたが、国賓として待遇されたことには単純に胸躍らせていた。ただ、そもそも何がそんなにおめでたいのか、本人もよくわかっていないようだったが……二人の間で政策めぐりいくつか食い違いがあったものの、日本側の観点からすれば、訪日は概して成功だった」(5月28日、アシュリー・パーカー記者)

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