2024年7月25日(木)

ネット炎上のかけらを拾いに

2019年6月21日

2015年には宮本エリアナさんがミス日本代表に

 ミス・ユニバース2015世界大会の日本代表に選出された宮本エリアナさんは、日本人の母とアフリカ系アメリカ人の父を持つ。子ども時代に肌の色で差別を受けたことや、「ハーフ」の友人が自ら命を絶ったことを、インタビューでたびたび語っている。彼女が日本代表に選ばれたときに「違和感がある」と言った声が出たことも、日本で外国人差別があることの証左だろう。

 過去記事をたどれば、たとえば2015年9月には「『ハーフ』をめぐる差別と幻想」(朝日新聞)の中で、「ハーフ」が日本でしか通じない和製英語であることや、「日本人として半人前と言われているようで嫌だ」といった声があることは紹介されている。また、ハフィントンポストでは同年4月に「日本の「ハーフ」差別に外国メディアが批判 ミス・ユニバースの宮本エリアナさん問題」というタイトルで、「日本以外の大多数の世界の基準で考えれば、宮本エリアナさんは完全な日本人だ」といった海外からの批判的な指摘があったことを報じた。

 何が言いたいかというと、2016年当時、すでに「ハーフの子を産みたい方に。」はアウトだったのではないかということだ。呉服店のコピーへの批判に対し、「今になってなぜ言うのか」「現代の基準で過去を批判するな」といった声が一部で出ているが、むしろ宮本さんの件が大きな話題となっていた2015~2016年当時の方が、「ハーフ」の語に敏感になるべき局面だったとすら思える。

「ノイジー・マイノリティー」は永遠に少数派ではないかもしれない

 広告の賞を取ってはいるが、リアルタイムでこの広告を見たと記憶している人は少ないだろう。もっと多くの人の目に触れていたら当時でも炎上していたのではないか。当時との違いについては、「嫌だ」と感じる人が、それを口に出せる風潮が高まっている面の方が大きいだろう。

 3年前の広告をいきなり糾弾されている制作者と店舗が気の毒だ、と感じる人がいるのはわからなくはない。ただ、広告賞を与えた東京コピーライタークラブについては、猛省すべき点があるのではないか。時代の空気を読むことに長けているはずの人たちが、揃いも揃って何をやっているのか。

 表現へのクレームについて、「ノイジー・マイノリティー」という言葉が使われることがあるが、「ハーフの子を産みたい方に。」への批判はすでに「一部の人のクレーム」ではない。マイノリティーがうるさいと耳をふさいでいるうちに問題が大きくなることを、メディア業界の末端にいる者なりに他山の石としたい。

  
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