ギン 一番大切なことを見逃さないことにご注意なさいませ!
一番大切なことは、あなたの笑顔です。不機嫌なままというのが一番不幸。
久美子 好きでこんな顔をしているわけじゃないんです。
ギン わたしが魔法をかけてあげる!
ドラマは、劇中劇のミュージカル仕立てのテンポのよい歌と踊りに転換する。
離婚を思いとどまらせようとはしない
ギンの執事である中津川(竜)が運転する高級車で、久美子は高級ブティックでドレスを買い、ギンから高級レストランの招待状といわれて、夫の誠と食事に出かける。笑顔の久美子だったが、誠の会話はいつしかすれ違いとなっていく。
久美子 育児のマエストラのおかあさまとは、無理をして付き合ってきたの。育児は誠さんに手伝って欲しいの。
誠 手伝っているじゃないか。
久美子 都合のよいところだけ。一緒にいるのは無理なのかもしれない。
誠 別れた方がいいってことか……そうだな。
久美子から、離婚することを聞いたギンがとった行動は、誠がひとりでいるマンションに、赤ちゃんの息子を抱えて乗り込むことだった。おむつの取り換えから、入浴、食事の準備、夜泣きした息子の世話をさせながら、久美子がいかに大変な日常を過ごしていたかを思い知らせた。
久美子に対して、ギンは離婚を思いとどまらせようとはしない。「昔お母さんに抱きしめられたように、子どもを抱きしめればいいのよ」という。久美子の両親が離婚して、祖母に育てられたために、母を知らないことを告げると、ギンは久美子の後ろから手を回して抱きしめてあげるのだった。このようにすればいいのだ、というように。
誠が久美子を追いかけてきて、「別れないでくれ」という。久美子は「妊娠したから、しかたなく結婚したんでしょ」と突き放す。「そうじゃないんだ」と誠は述懐する。ふたりが知り合ったばかりの職場の花見のシーン。久美子は、祖母から教わった、梅干し入りのおにぎりと、ぬか漬けを持ってきていた。
誠 あのおにぎりとぬか漬けを食べて、久美子となら暖かい家庭が築けると思ったんだよ。
子育て中の夫婦にも、遠い子育ての記憶が蘇るシニアの世代にも、楽しめるドラマである。
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