2024年12月14日(土)

田部康喜のTV読本

2019年4月17日

(Stockbyte/Stockbyte)

 フジテレビの月曜よる9時(月9)のドラマ「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」は、放射線技師に窪田正孝と、その画像を読んで診断を下す放射線科医師に本田翼をすえて、医療ドラマの新しい領域を開いた。天才外科医や大学、病院内の権力闘争描いた、これまでの医療ドラマに対して、ガンをはじめとする難病についての知識をわかりやすく観客に伝える、啓蒙のドラマである。

 STORY♯2(4月15日)のテーマは「リ・フラウメニ症候群」である。世界的に非常にまれな家系の遺伝子によって、子孫にガンが多発する。ドラマが訴えたいのは、ガンの既往歴がある場合は、定期的な再検査によって、再発や新たな発生の早期発見に至れば早期の治療につながる、というメッセージである。

漫画を上流として映画やドラマが生まれる

 窪田正孝は、米国留学から甘春病院に就職した放射線技師の五十嵐唯織(いがらし・いおり)を演じている。甘春病院を選んだ理由は、放射線科医師の甘春杏(あまかす・あん、本田翼)が幼少時代の憧れの人だったからだ。しかし、初対面のときからいまも、杏は唯織が幼馴染だったことを思い出さないままである。

 唯織と杏の人生は徐々に明らかになる。唯織は実は、医師免許も持っているが、それを隠している。病院長の大森渚(和久井映見)は放射線医師として活躍することを勧めるが、唯織は避けている。「あのことはお願いね」という大森がかけた言葉の意味は、ドラマの進展とともに明らかになっていくのだろう。

 杏は元病院長の娘である。跡を継ぐべき兄は、自分が誤ってリードを離してしまった愛犬が工事現場に逃げ込んだのを追って、ビルの骨組みが崩れたために亡くなった。その悔悟もあって、病院を背負って立とうと過去の記憶を封印している。

 原作は、モリタイシの漫画。漫画を上流として映画やドラマが生まれる、日本のコンテンツの豊かさを改めて感じる。


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