日本人秘書が明かす李登輝元総統の知られざる素顔

2019年7月13日

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早川友久 (はやかわ・ともひさ)

李登輝 元台湾総統 秘書

1977年栃木県足利市生まれで現在、台湾台北市在住。早稲田大学人間科学部卒業。大学卒業後は、金美齢事務所の秘書として活動。その後、台湾大学法律系(法学部)へ留学。台湾大学在学中に3度の李登輝訪日団スタッフを務めるなどして、メディア対応や撮影スタッフとして、李登輝チームの一員として活動。2012年より李登輝より指名を受け、李登輝総統事務所の秘書として働く。

「自由」の意味を履き違えた人々

 対するエバー航空のストライキだが、前述のとおり、こちらも7月11日で収束した。エバー航空の従業員からすれば、確かに会社側に改善を求める大義もあったのだろう。しかし、彼女らが置かれた立場は、台湾社会においては比較的というよりはかなり恵まれた立場であった。そしてストライキのために、多数の便が欠航となり多くの人々がスケジュールを狂わされた。

写真:ロイター/アフロ 写真を拡大

 チャイナエアラインのストライキのときに繰り返し流された映像に、ある老婆が号泣しながら「初めて孫と海外旅行に行くのを楽しみにしていたんだ。なんとか飛ばしてくれ」と職員に頼み込む姿があった。もちろん労働者としての権利が保障されるべきことは重々承知しているが、ストライキ決行によって多くの人々に迷惑をかけるだけでなく、傷つけることさえあったことを肝に銘じるべきだろう。結局は「私」のために行動し、ストを決行したことが、台湾の人々から不興を買う結果になってしまった。

 LCCも多数就航し、飛行機がもはや一部のビジネスマンや経済的に余裕のある人々が利用するものではなくなった今、航空会社は公共交通機関とほぼ同様の社会的責任を有するようになったことに気づくべきだ。

 台湾は今や完全な民主主義を得たと言っていいだろう。しかし、民主主義イコール恣意的な自由ではない。責任と義務を踏まえてこそ権利と自由を主張する「権利」が生まれるのだ。台湾が民主化されたことは100%称賛すべきことであるが、民主化が定着した現在、「公」ではなく「私」を優先する一部の人々の行為には失望する。

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