2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2019年7月28日

英語嫌いをなくす

 首都圏の主な工業高校生には英語を嫌い、英語を拒絶する生徒が多い傾向があるという。東京都立六郷工科高等学校では、就職先の企業からの要望である「英語嫌いをなくす」を同校の英語学習のスタート地点とするために、TGGを活用することにしたという。同校は、もの作りの街の中小企業が多い大田区周辺地域とASEAN(東南アジア諸国連合)地域で国際貢献できる技術者を育てることを目指しており、将来、仕事で海外に行くケースもある。

アトラクション・エリアのクリニック

 このため「英語を怖がらず、社会に飛び立つ」取り組みを進めてきた。昨年の9月に同校1学年の生徒155人が半日コースに参加、普段の英語の授業では出さない積極的な姿勢が見えたという。

 5月に青森県から参加した八戸市立市川中学校の關美恵子教諭は、修学旅行に来た3年生10人を生徒の希望に沿って半日コースに参加させ、アトラクション・エリアの飛行機内、英語ニュース番組作成などを体験した。「日頃はナマの英語に接する機会の少ない生徒にとって、この経験は大いに役立ち、生徒にとっては『プチ留学』のような感じでテンションが上がっていた。

 英語が母国語でないスタッフの多様な英語にも触れることができ、参加した生徒はみな喜んでいた。英語の好きな生徒はより興味を持つようになり、嫌いな生徒も楽しく学べたことで、英語の勉強への意欲がわいてきたのではないか。また機会があったらより多くの生徒を連れてきて、是非ともTGGを体験させたい」と評価している。

全額補助の自治体も

 TGGの利用料金は、1日コースが東京都内の生徒は4800円(税別)、都内ではない生徒は6800円(同)で、半日コースは都内が2400円、都外は3500円となっている。都内の学校が利用するケースが多いが、首都圏から参加する生徒も増加している。全額を生徒が負担するのはきついので、参加する学校の自治体が費用の一部を補助するケースもある。東北や九州から参加する学校もあり、最近は修学旅行の一環として立ち寄るケースも増えている。

 都内の足立区教育員会は、キャリア教育を充実させるための一環として小中学校生徒の英語教育に力を入れている。小坂裕紀・教育指導課長は「2020年にオリンピック開催を控えており、英語の必要性が増してきている。TGGはこうしたことに役立つと思われるので、小学校の生徒には1回分の利用料金を全額補助し、中学生についても今年から補助することにした。全部で年間2000万円の補助金の予算を区議会で承認してもらっている。TGGに必ず行きなさいとは指導していないが、参加した学校、生徒のうけも良いので、これからも続けていきたい」と手応えを感じている。

 都立の小中学校の参加度合いは区によってまちまちで、足立区のように利用料金を支援して積極的に参加させるところもあれば、そうでない自治体もある。


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