内側の人たちで楽しんで、満足することのできる「コトづくり」
13時、大竹市長が開会を宣言して、いよいよ、くばコレがスタートした。思い思いの衣装を着た住民たちが、ランウェイを歩いたり、踊ったりしながら、笑顔を振りまき、最後に決めポーズをとる。婦人同士で仮装したチームもあれば、老若男女で構成されたチームもある。
地元警察署長が、めったに見られないという飾緒(肩から胸にかけられた飾り紐)を付けた正装で登場すれば、消防隊員は「はしご乗り」を披露する。養護学校の生徒たちが、この日のために練習したであろう踊りをみせれば、観衆から大きな拍手や声援が起きる。司会の女性によって登壇者の全ての名前が読み上げられる。
息つく暇もなくステージが続き、気が付けばあっという間に2時間が経過していた。大取りで河内さんが登場し、みんなから感謝の拍手が送られた。まさに「住民の、住民による、住民のための“お祭り”」、それこそが「くばコレ」の正体だ。
「この町には、人がいない、お店がない、遊ぶ場所がない、お店がない……」と、ない物ねだりをすればきりがない。そうではなく、「あるもの」で自分たちが楽しめる、楽しむためには何ができるのか? 玖波の地域人たちが実践したことはまさにこれだ。
そんな「くばコレ」を目の当たりにしてふと思った。来年には東京五輪、そして25年には大阪万博がある。ただ、これも誘致したお祭りだ。急増するインバウンドも、外からの人の誘致。これを否定するつもりはないが、同時に大切なのは、外の力を借りることなく、内側の人たちで楽しんで、満足することのできる「コトづくり」なのではないだろうか。
河内さん自身、「くばコレは、どこにもない不思議なイベントだと、感じています」という。そして「不完全なイベントだからこそ、魅力があるのです」と、強調する。
「たくさんの地域の皆さんが入るスキマがいっぱいあり、自らが創っていけるイベントだから、最高に面白いし、主役がみんな! 自分自身で、スポットライトを浴びる快感も加わるし、まちの中でしか味わえない面白さが入り混じり、出演者と観客が一体となって、ワクワクする新しいカタチのイベントだと、思っています」
河内さんの公民館改革は、これからも続いていく。
「まずは、防災です。公民館が避難場所でもあります。防災をジブンゴトにすること。
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