マンハッタンの高級百貨店バーニーズ・ニューヨークが経営破綻の宣言をし、8月6日に連邦倒産法第11章(俗にチャプター11と呼ばれる)を申請した。
バーニーズ・ニューヨークがチャプター11の申請を行ったのは1996年に続いて二度目だが、前回はどうにか建てなおした。2012年には売却されて再スタートをきっていたが、7年目にして再度この日本の民事再生法にあたるチャプター11の申し立てとなった。
すでに今年になってからマンハッタンでは五番街にあったロード&テイラー、そして日本の観光客にも人気だったヘンリ・ベンデルと歴史のある百貨店が次々経営破綻し、そのドアを永遠に閉じてきている。
その中でもハイクラスという意味では、超高級ブランドをそろえたバーニーズ・ニューヨークは別格といえる。筆者もここではウインドウショッピングをしたことはあるものの、実際に買い物をしたことはない。
街を歩いていても、昨今ではバーニーズのショッピングバッグを提げて歩いている人物を目にすることはほとんどなかった。おそらくこの世界的不景気で、かなり売れ行きも落ちたのではないかと思っていた矢先のことであった。
経営の鍵を握っていたパーソナルショッパーという存在
だが筆者の勘違いを一つ正してくれたのは、自らもマンハッタンのノリータで高級ブティックを経営している友人のジェニファーだった。
「ニューヨークで高級店のショッピングバッグを提げて歩くのがカッコいいとされたのは、一昔前の話。今はバーニーズのような高級店では、買った本人が商品を運ぶことはほとんどありません。シャペロンが、その日のうちに顧客に届けに行くんです」
シャペロンとは一般的に、付き添い、ご相伴する相手などを指して使われる言葉だが、この場合はショッピングの手伝いをするパーソナルショッパーを指している。
バーニーズにも専属スタイリストたちの配下に10人ほどのパーソナルショッパーがいて、それぞれがおよそ50人から200人ほどの顧客を抱えているという。
ブルンバーグのオンラインコラムによると、バーニーズのような高級店で本気の買い物をする顧客は、ほとんど1人でやってきてこのパーソナルショッパーを雇う。そのシーズンのトレンドなどのアドバイスを受けて新しいワードローブ一式を揃え、絶対にパーティーなどで他の人とかぶらないようなオリジナル商品を買って行くのだ。パーソナルショッパーはもちろん、買い上げられた商品を数時間内に配達する手配もする。