2022年12月4日(日)

家電口論

2019年8月31日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

1961年生まれ。慶應義塾大学理工学部卒、同理工学研究科修了。大手メーカーにて商品開発・企画を担当後、独立。現在、商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。

「ドラム型」の洗浄力が低いとされた理由

 古い電気洗濯機は撹拌式。かくはん棒で衣類を混ぜ合わせるものでした。それをパルセーターによる渦巻き式にしたのが、1953年。三洋電機が開発しました。今使われているタテ型洗濯機の原型です。同じ頃、欧米ではドラム型洗濯機が作られます。

 ここで、洗濯機は大きく2方向へ分かれますたのです。1950年代というと、第二次世界大戦後まもなくです。日本の主要道路は舗装されていたモノの、都内の至るところは未舗装。泥汚れが付く時代です。このため、日本は、泥汚れも睨んだ水流の強い洗濯機が必要とされたと思います。幸いなことに、日本は水が豊富。手で洗うよりも格段に落ちますし、何より時短。当時の日本にタテ型はピッタリでした。

 逆に、欧米では、モータリゼーションが発達した舗装の国。運動以外で、泥汚れは付きそうもないです。このため、汚れは水溶性汚れと油性汚れの2つ。しかも水は硬水。洗剤の働きが悪いです。で、選択したのがお湯洗い。昔、広場で下着などを煮沸洗いしてきた歴史もあるのでしょうが、彼らにとって「お湯」を使うのは、それまでもしてきた当たり前の選択でもありました。

 しかしお湯のネックはエネルギーです。お湯化する水は少ない方がベターです。こうしてできたのが、機械的な洗浄力は落ちるが、洗剤の力をフルに発揮させるドラム型です。ちなみに、ドラム型はタテ型の約半分の水量で洗うことができます。

 しかし、このドラム型、日本に入ってきたとき「標準モード」を付けさせられました。水洗いです。当然、洗浄能力は落ちます。大きいし、汚れが落ちない。さんざん不平を言われることになるのですが、考えてもみてください。洋服を作った欧米国の人々が、汚れの落ちない洗濯機で満足するわけがありません。

 ポテンシャルのでない条件で使われ、長所を出すことができなかったのです。

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