田部康喜のTV読本

2019年9月26日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

最新カメラ技術で迫る選手の視線

 今回の番組は、昨年10月のオールブラックスとオーストラリア戦において、撮影した「自由視点映像」から、秘密に迫った。まず、オーストラリア陣地の奥まで迫った、バレットが迫る敵陣に対して、体を前に倒して自分の股の間から味方にパスしたトリッキーなスーパープレーの分析である。次に、守備から攻撃に移る「ターンオーバー」の瞬間に、全員が一瞬にして攻撃に移る巧みさである。

 前回大会の日本チームで、エディ・ジョーンズコーチの片腕となって、戦略、戦術を組み立てた、沢木敬介は自由視点映像のオールブラックスの動きを見て「選手の視線のクセがみてとれて面白い」という。

 オーストラリアの15回にも及ぶ連続攻撃をしのいだ、オールブラックスは敵がパスミスしたボールを奪った瞬間に攻撃に出る。この直前のスタンドオフのバレットの視線を自由視線映像で追っていくと、彼はチームの後方に位置して、攻撃に移った場合に味方にパスがしやすいスペースを探して、視線を縦横に走らせている。オーストラリアチームが連続攻撃によって披露して、視線がうつむいている瞬間に、バレットは味方の選手ともアイコンタクトなどによってスペースの位置について、情報共有している。

 オールブラックスの強さの秘密は、相互の信頼と瞬間の情報共有にあったのである。チームのモットーとして、マオリ語の「ファーナウ(家族)」がある。

 チームのなかには、マオリを祖先に持っている者、入植した欧米系の者、隣国の島諸国からきた者など、多様性に富んでいる。「ファーナウ」に一致団結する厳しい練習と連帯がある。

 筆者は、日本と同じ予選プールのアイルランド対スコットランド戦を観戦した。スコットランドに1トライも許さないアイルランドの攻撃と守備に死角はないように、素人目には見えた。

 第2回は「日本代表 “奇跡”の先へ」(9月27日)である。大会の進行とともに、ラグビーの魅力を伝えるシリーズに期待したい。

  
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