2022年8月8日(月)

Wedge REPORT

2012年3月21日

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当初予算に計上はわずか1割あまり

 配分が決まれば、それをどう使うかだ。年末に内閣府からは、「全国どこにでもあるような事業では意味がない。沖縄らしい事業に使ってほしい」と県に伝えられたという。県内の市町村にもこの話が伝えられ、「どんな事業なら沖縄らしいのか」と、どの自治体も頭を悩ます。

 沖縄本島中部にある中城村には、世界遺産にも指定されている中城城跡がある。15世紀、琉球王国の時代に建設され、第二次世界大戦中の沖縄戦によって多くの文化財が消滅した沖縄本島では例外的に被害が少なく、美しい石積みが残る。

 取材に訪れた村役場で、浜田村長が説明してくれたのは、この中城城跡をはじめとした地元の文化財を展示する歴史資料館の建設に一括交付金を使う計画だ。「本土中心の歴史教育では、子供たちが沖縄独自の歴史を学ぶ機会がない。資料館の建設で沖縄の歴史文化を学ぶ場を確保するとともに、観光資源の一つとしても活用できるはず」と意義を語る。

 ところが、資料館ともなれば、いわゆるハコモノを建てることになる。数億円程度を見込む建設費は、「予算化してもハコモノに交付金を使えないかも知れない」。そう考えて、来年度の当初予算に計上するのを見送ったという。「一括交付金の交付要綱がまとまっていないので、どんな事業が対象となるのか分からない。県からも説明はない。すぐに事業化できるよう準備を進めているが、この制度がどうなるのか、不安だ」とこぼす。

 首長のなかには、県の裁量が大きくなることへの不安もあるようだ。これまでの振興計画では市町村が独自の事業を立案した場合、国が予算づけの可否を判断してきた。ところが、一括交付金制度がスタートすれば、「県が市町村の計画をふるいにかけるようになり、国に売り込んでくれないのではないか」、「県の担当者に相談に行くと『そんな事業ではダメ』と言われた」。そんな情報が首長たちのあいだを飛び交う。

 3月2日付の地元紙『琉球新報』によると、県内の41市町村のうち、来年度の当初予算案に一括交付金を計上するのは、14市町村しかない。総額も市町村に分配された303億円のわずか1割あまりの36億円にとどまるという。計上を見送った理由として、「交付要綱が示されていないため事業の検討ができない」、「当初予算案に向けて事業を検討する時間がなかった」などが多いようだ。補正予算で対応するというが、新しい制度のスタートは順調とはいかないようだ。

 こうした状況に内閣府からは、「交付要綱のとりまとめがまだなのは事実だが、実施したい事業があるのであれば、まずは走り出せばよいのに。地域振興のためにベストだと地元が考えるものに使ってもらおうというのがこの制度の趣旨。受け身のままでは自治体の政策立案能力が問われかねない」との指摘が聞かれる。

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