2022年8月17日(水)

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2012年3月21日

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 一括交付金の1575億円のうち、産業振興や人材育成などのソフト事業に803億円、空港や道路整備などのハード事業に771億円を割り当てることが国によって決められている。ハード事業は大半がこれまでの事業の継続となるため、地元が本当に自由に使えるのは、ソフト事業分ということになる。

 制度の実現が決まると、問題となったのが、このソフト事業の803億円をどう分配するかだ。まず県と市町村の協議によって継続事業分の200億円をのぞく603億円のうち、県が300億円、市町村全体で303億円とおおむね折半することが決められた。つづいて市町村分の分配をめぐって話し合われた。

県町村会長の城間俊安南風原町長
(撮影:編集部)

 県町村会長で南風原町の城間俊安町長が、「市町村長が知恵を出し合って考え出した」と強調するその方法とは、まず5000万円ずつ41市町村に均等に分配し、残りは人口や面積のほか、財政力や離島かどうか、老齢人口などの指標をもとに分配するというものだ。2月25日の市町村の協議会で決まったこの方法では、最も多い那覇市の分配枠が52億7000万円に上るのに対し、最も少ない北大東村では2億1000万円と25倍もの開きがでる。

 これには、「少なくとも3億円ぐらいは均等割で受け取れると思ったのに、これだけしかないとは。これでは人口が多くて財政力がある自治体ほど予算を獲得して、結果として県内での格差が大きくなってしまう」と沖縄本島中部の首長が話すように、不満も少なくない。

 いずれにしても、この分配方法には、各自治体が立案する事業の良し悪しをもとに分配額を決めるという発想はない。城間県町村会長は、「分配枠は固定したものではなく、良い事業があれば、年度の途中でも変えることができるよう弾力的なものとする」というが、一度決まった分配枠を年度の途中で変更するのは、容易ではないだろう。

 配分方法と並んで市町村が懸念するのが、交付金による財政負担の増加だ。ソフト事業の交付金は、国が実質10分の9を負担し、残り10分の1を市町村が負担する仕組み。この市町村の負担分は、「裏負担」と呼ばれ、財政基盤の小さい町村では、10分の1の負担すら深刻な問題だという。

中城村の浜田京介村長 (撮影:編集部)

 例えば、人口1万8000人あまりの中城村の場合、決まったばかりの分配方法では来年度の一括交付金は4億円ほどの見通しだ。裏負担の額は4000万円ほどだが、浜田京介村長によると、「10年続けば4億円になる。一般会計が50億円ほどの村の財政には、この額はきつい。それでなくともギリギリの財政運営をやっている」といい、国が10分の10を負担する、いわゆる「真水」にしてほしいと訴える。

 こうした訴えに対し、県企画部の謝花喜一郎企画調整統括監は、「真水ということになれば、市町村の担当者が知恵を絞らなくなってしまう恐れもあり、財政規律上、問題も多い。これまでに国に補助率を10分の9まで引き上げて欲しいと頼んできた手前もあり、さらに真水を要望するのはとても無理。財政負担が大変な町村には県が支援することも検討している」と、市町村の不満を抑えるのに必死だ。

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