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2020年1月18日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

 池内さんは相談を繰り返しているうちに、あることに気がつく。

 「待てよ。川上から川下まですべて揃っているじゃないか」

 それが福山デニムの新ブランド「福山ファクトリーギルド(F.F.G)」が生まれるきっかけだった。

 「池内さんという人は本当にしつこい人なんです」と名和さんは笑う。デニム製造の傍ら自社で作るポーチ類の拡販方法についてフクビズに相談に行ったのだが、池内さんは、「それよりも、デニムの新ブランドを立ち上げましょう」と口説いてきたというのだ。

 大手ブランド向けに製品を納入している名和さんは当初、「自社でブランドを作ったら、仕事が来なくなるから嫌だ」と抵抗した。フクビズに3回通って、結局、池内さんに説得される。「根負けしたんです」と名和さん。

 背景には焦りがあった。アパレル全体の市場が縮小する中で、大手との取引だけで将来にわたって安泰とは言えなくなっていたのだ。また、「これを作っています」という最終製品を持たないと、縫製職人のモチベーションが上がらず、技術の伝承もままならない。

 池内さんが真っ先に引き合わせたのは、福山駅前でセレクトショップ「ホルス・ワークス」を経営する今福俊和ホルス社長だった。「100%メイド・イン福山」のデニムを作っても、「出口」がなければ世の中に発信できない。また、何が売れるのか、実際に消費者と日々対面してモノを売っている人の意見を聞かなければ、独りよがりになる。

福山駅前のセレクトショップ・ホルスでF.F.Gデニムを販売する今福さん
ホルスの入り口にはF.F.Gの看板が置いてある

 今福さんも、「もともとは別件の相談でフクビズを訪ねました。まさか福山デニムのブランド立ち上げに関与することになるとは思いもよらなかった」と振り返る。

はきやすさを追求

 今福さんは条件を出す。「ホルス・ワークス」では岡山デニムも置いていたので、バッティングさせるわけにはいかない。そこで「はきやすさを追求した」ジーンズというコンセプトを固め、価格帯についても、F.F.Gに参加する各社が適正な利益を出せる水準にした。

 「福山デニム」はどんどん形になっていった。染糸の坂本デニム、製織の篠原テキスタイル、縫製のNSG、洗い加工の四川、刺しゅうのアルファ企画、加工のサブレ、販売のホルスなど─。いずれも福山に拠点を置く川上から川下までの企業が連携することとなった。

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