2024年4月30日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年4月16日

 結局、オハンロンの主張は、イランが譲歩しなければ武力攻撃しかない、という現在ほとんど規定の事実のように思われている考え方に対する現実的なアンチテーゼというものであり、それには確かに一理あります。

 他方、2つの議論が一長一短である場合、結局は政治的決断ということになり、現状では、少なくともイスラエルは核施設攻撃の政治的決断に傾いていると言えます。ただ、これは外交上の駆け引きの観点から言えば悪いことではなく、そうした軍事力行使の決断があって初めてイランから具体的な譲歩を引き出せせる可能性が出てきます。

 とすると、現実は、オハンロンの意見とは異なるチキン・ゲームが続くことになりますが、そうこうしている内に、イランとの間に全面的解決ではなくとも、何らかの暫定的合意ができれば、イランとの間にまさにオハンロンが主張する、米朝関係のような関係が生まれることになります。そうなった時、北朝鮮と違う点は、イランは北朝鮮のような硬直的な体制ではないので、時間をかければ政治体制の漸進的変化が期待できるということかもしれません。

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