「史上空前の大フィーバー」……
まさに「迷走」。のっけからMGCファイナルチャレンジには嫌なムードも漂うが、日本陸連の抱く〝焦り〟を考えれば残り2戦どころか東京五輪以降となるマラソンレースそのものの今後にも暗雲が垂れ込め始めているのかもしれない。
日本陸連関係者の中からは、次のような本音も聞こえてくる。
「東京五輪の男女マラソン会場が競歩とともに札幌移転することになり、陸連側は相当な危機感を強めている。本来ならば来年の夏の本番は東京開催で先日落成した新国立競技場が発着のレースとなって『史上空前の大フィーバー』になると予想し、五輪以降もマラソンブーム到来を期待していた。瀬古さんがMGCを肝いりで設立したのも、その流れだ。
しかし今は札幌移転のゴタゴタによって日本中も大きく混乱し、方々から不満の声も上がっている。東京で開催したMGCも流行語にまで選ばれたのに、札幌となっては本末転倒。未だ札幌のコースも決まっていない現状も重なって愛想を尽かしたり、苦言を呈したりする声も多数寄せられ、陸連幹部も『逆にマラソンが下火になってしまうのでは』と警戒しているのが現状だ。
このような背景があって、MGCファイナルチャレンジを必死に盛り上げようとしている側面もあるだろう。しかしながら結局はどういう方向性にすればいいのか定まっておらず模索するあまりに迷走を続けている」
MGCファイナルチャレンジの女子初戦は8日のさいたま国際が号砲となる。こちらも残り1枠の代表の座が争われるが、ご存じの通りにイマイチ盛り上がっていない。取材する側としても残念だ。
日本陸連側としては女子有力選手の参加が見込まれる来年開催の大阪国際と名古屋ウィメンズ、そして男子ではトップクラスの集まりそうな来年3月の東京で残り1枠となった代表争いの「盛り上がり」を何とか期待したいところだろう。だが実際は先行きの不安にも駆られ、煽れば煽るほど空回りしてしまいそうな気配が漂っている。
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