2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2019年12月9日

政治的道具の面が強い

 「福島県で試合を行う野球とソフトボールの代表チームは選手村に入らずホテル泊まりなので、専用シェフに料理を作らせても特に問題はないだろう。ただ選手村へ入村する選手たちは、どこの国であろうともIOC(国際オリンピック委員会)の示す条件は同じだ。韓国の代表選手団にだけ専用シェフを認め、別の食事を摂っても構わないという特別扱いを認めるわけにはいかない。

 こちらに放射線測定器を持ち込むのは勝手だが、これも〝食の安全〟うんぬんではなく明らかに日本にマイナスイメージを与えるための政治的道具の面が強いのだろう。さすがに、こうした韓国側の方針には怒りを覚えるし、さまざまな面で横暴と言わざるを得ない」

 日本側としても「選手村で各国の代表選手たちを通じ、日本産の食材と和食の素晴らしさを世界に広める絶好の機会」ととらえ、今度の東京2020大会を重要視している。それだけに福島原発事故による〝食の安全〟に対する不安を過剰にアピールし、強硬手段まで取ろうとする韓国側には怒りを隠せない様子だ。やはり東京五輪・パラリンピックで日本の目論んでいるプランをすべて水の泡にさせるのが、文政権の狙い――。そういう、うがった見方をしている日本側の有識者は1人や2人ではない。

 だが、東京2020大会で強行しようとしている韓国側の方針には日本だけでなく〝身内〟からも異論が向けられつつある。当事者の韓国代表選手たちだ。

 前出の韓国メディア事情通は、こうも続ける。

「さすがに韓国の代表選手からも『選手村にいるのに食べたい食事が食べられないのは余りにもナンセンス』『東京大会の選手村の食事は非常にレベルが高いらしいと開催前から評判になっているのに、なぜ韓国だけ制限をかけられるのか』『選手の人権を完全に無視している』などと、方々からKOCやKSOCの上層部が勝手にまとめ上げた方針への批判が聞こえ始めている。

 これだけNOを突きつける代表選手が多いのは、どうやら非公式ながらも韓国政府の与党タカ派議員の中から『五輪に参加する韓国の選手は現地で日本食を食べるぐらいなら、韓国産の缶詰でも食べたほうがいい』という無責任極まりない発言が出たことに呆れ返った背景もあったようだ」

 文政権は東京五輪・パラリンピックまで「反日」へ向けた国内政治の材料にしようとしているのか。今月下旬に中国で安倍晋三首相と文大統領の個別首脳会談が実現する可能性は確かに高まっているものの、日韓両国の〝亀裂〟はスポーツの祭典を巡っても依然として深刻だ。

  
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