地元事業者はアウェーサポーター獲得へ
こうした住民が支えで力を付けてきたクラブを、地元事業者は「アウェーサポーターの獲得」という形で活用している。ホームタウンである松本市の松本観光コンベンションは2019年シーズンに、アウェーサポーターへ松本城の無料観覧券をマッチデイプログラムとともに配布。試合当日から2日間の有効期限で使え、試合後の市内周遊を図った。
4月~8月の11試合に1万2500枚を配布したところ、1315人が松本城に来場した。加藤孝総務課長は「通常のダイレクトメール(DM)では3~5%の効果の中、1割以上の効果を出している。試合のついでに来てもらっているという手ごたえを感じている」と話す。
松本商工会議所は、シーズン中に「アウェイサポーターおもてなしキャンペーン」を実施。アウェーのグッズを身に付ければ、地元商店街の飲食店やショップでそれぞれのサービスを受けられる。市内の菓子店「翁堂」では、サブレをプレゼントしている。浦和レッズや川﨑フロンターレ、セレッソ大阪と、さまざまなクラブのサポーターが足を運んでいる。木内基裕社長は「みな松本山雅が好きで、松本の街も気に入った、と言ってくれている。実際にリピーターとして繰り返し足を運んでくれている人もいる。地方都市は観光客が来てなんぼの街。松本山雅を通じて地域の魅力を伝えていきたい」と語る。
ただ、松本山雅は地域に根差し営業黒字を続けているものの、収入額はJ1では低かった。「人が集まって強くなるというのを実現させてきたが、ここからはビジネス目線を取り入れ収益を戦力強化へまわしていく仕組みを作らなければならない」と神田社長は課題を指摘する。さらなる飛躍に向けた挑戦が再び始まる。
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