Wedge REPORT

2019年12月25日

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 長岡市の複合施設「アオーレ長岡」は、人が集まる施設に、スポーツチームを誘致することでさらなる集客に成功している。

 長岡市が2012年に建設したアオーレは、社会実験の結果、生まれた。「長岡駅周辺には6つのデパートがありましたが、平成の30年間で全てなくなりました」と、市民協働課の川合和志課長。郊外に大規模商業施設が作られ、中心市街地が空洞化した。人の流れを中心部に戻すことができないか。試行錯誤の一つとして、廃業したデパートを一棟丸ごと使って、市役所業務、ハローワーク、子どもが遊ぶことができる広場などを一カ所に集めた。この試みが比較的うまくいった。

アオーレ長岡で行われるアルビBBによるバスケスクール

 アオーレの場所には、厚生施設として体育館があった。体育館としての機能を残しながら、人が集う複合施設を作ることになり、実際に市役所もこの場所に移転するなどした。長岡市がもう一工夫したのが、アオーレの運営にNPO法人を置いたことだ。NPO法人に自由な発想で利用の仕方を考えてもらったほうが稼働率が上がる。つまり、NPO法人がアクセル、長岡市側がブレーキになるというイメージだ。これらが奏功して、アオーレの稼働率は平日で85%以上、週末では90%以上で推移した。

 そんなときに舞い込んだのが、新潟アルビレックスBB(以下、アルビBB)の移転という話だった。アルビBBは、日本初のプロバスケットボールチームとして2000年に新潟市で発足した。2リーグに分裂していた日本のプロバスケットボールチームは、16年に統一されてBリーグが発足することになった。このトップリーグB1に参加するには、収容5000人以上のアリーナを持つことが条件だった。ところが、新潟市にはそれがない。そこで白羽の矢が立ったのが、アオーレだった。

 ここで、長岡市側は「バスケによる市民協働まちづくり」包括連携協定により、3年間アオーレの使用料を無償化し、アルビBB側はスポーツを通じて地域活動に参加するという取り組みを開始。3年目の18~19年シーズンでは、アルビBBは初めて中地区で優勝し、チャンピオンシップに進出した。入場者数も年々増え、平均3608人を達成した。

 アルビBBが長岡など県内で行うスクール事業は、地域の人々と触れ合う仕掛けとなっており、これが観客動員数の増加にも役立っている。19~20年シーズンからはアルビBB側から施設使用料も長岡市側に支払われるようになった。アルビBBの試合がある日は、近隣の飲食店が満員になり、ホテルも予約が取れないほどになるという。

 「長岡の皆さんへの認知度を上げるには、まだまだ。スポーツチームの運営は一つクリアしたらまた次と、挑戦の繰り返しです」と、アルビBBの小菅学社長は気を引き締める。

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◆Wedge2020年1月号より

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