Wedge REPORT

2019年12月10日

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 空前のラグビーブームを巻き起こしたラグビーワールドカップ(W杯)が11月2日に幕を閉じた。主催したワールドラグビーのビル・ボーモント会長は「過去最高のW杯」と日本大会を総括したが、その大舞台を支えたのが大会ボランティアの存在である。試合会場の運営補助や最寄り駅や空港での案内、街中に設置されたファンゾーンにおける来場者サービスなど、44日間にわたる大会期間中、およそ1万3000人が活動した。

大会の盛り上げ役として1万人を超えるボランティアが参加した
(写真・YUKA SHIGA)

 ボランティアの「おもてなし」に対しては、出場チームの選手をはじめ、国内外の観客や海外メディアからもさまざまな称賛が送られた。もともと意識の高い人たちが参加したからと言ってしまえばそれまでだが、彼らのマインドを高め、チームとしてのベクトルを合わせることに成功したボランティアのマネジメントはいかなるものだったのか。その舞台裏を振り返る。

 約1万人の募集予定に対し、応募総数は歴代W杯最多となる3万8000人を超えた。2011年のニュージーランド大会に続き、ボランティアのマネジメントに携わった組織委員会人材戦略局次長のデボラ・ジョーンズ氏は、「前回はボランティア希望者に個別面接を行いましたが、今回はグループワークを採用しました。参加者のコミュニケーション能力やリーダーシップを把握するために、メンバーと協力しながら目標を達成できる人を優先的に選びました」と振り返る。

 選ばれたボランティアの年齢層は、18歳から最高齢は89歳まで各年代がバランスよく選ばれ、男女比はちょうど1対1となった。「若者と高齢者が一緒に活動する多様なボランティアこそが大会の顔であり、大会の付加価値を生み出す人たちです。この思想を浸透させることに何よりも重きを置きました。スポーツに限らずさまざまなイベントでボランティアはコストカットの手段という考えが多い中で、われわれにはその考え方がまったくありませんでした」と明かすのは、同じくマネジメントに携わった佐藤洋平氏。

 ボランティアは観客サービスなど付加価値を生み出すところに重点的に配置され、案内や誘導というタスク以上に、観客と一緒になって楽しみ「大会を盛り上げる」という重大なミッションが与えられていた。もっとも、「大会の顔」として、本来なら運営スタッフが直々に行いそうなVIPの接遇や受付、監督や選手の会見といった運営のコアな役割にもあえてボランティアが登用された。

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