中東を読み解く

2020年1月8日

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殺害の前、ベイルートでヒズボラ指導者と会談

 米国はソレイマニ司令官の殺害時のもようを明らかにすることをかたくなに拒んでいるが、中東専門誌「ミドルイースト・アイ」(MEE)はイラクの民兵指導者や治安機関の話などから、殺害時のもようや司令官の死亡当日の行動などを詳細に伝えている。

 司令官は3日未明にバグダッド国際空港を出たところを米軍のドローン攻撃で殺害されたが、バグダッド入りに先立ち、2日朝、テヘランからシリア・ダマスカスに空路到着した。司令官はそのまま、車で隣国のレバノン・ベイルートまで行き、同国の武装組織ヒズボラの指導者、ハッサン・ナスララ師と数時間にわたって会談した。

 会談では、米軍によるイラク民兵への攻撃や、米国との今後の対決にどう備えるかなどが議題になった。司令官は会談後、再び車でダマスカスに戻り、午後10時半発の民間機でバグダッドに到着した。バグダッド着は3日の零時半過ぎだった。驚くべきタフな行動力である。

 空港には、司令官の片腕で、民兵組織「カタエブ・ヒズボラ」のムハンディス指導者が滑走路まで出迎えた。車は2台。ヒュンダイのミニバスとトヨタのアバロンだった。2台は直接滑走路から同指導者の自宅のあるバグダッド中心部に向かった。空港では入国手続きなどはフリーパスだった。しかし、空港の外に出た道路の上空には米特殊作戦軍のドローン「リーパー」(死神)が待ち構えていた。2台の間隔は約100メートルだったという。

 午前1時45分、リーパーはミサイルの最初の1発をミニバスに発射し、破壊した。2発目はアバロンに向けられたが、命中しなかった。アバロンは急加速して逃走を図ったが、3発目が命中。アバロンに乗っていたと見られるソレイマニ司令官とムハンディス指導者が死亡した。ソレイマニ司令官の義理の息子も一緒に殺害された。

  
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