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2020年2月18日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

まずはルール作りから

 「だからまずは委員会開催が決まった日時と、個々の議員の質問通告日時公表だけでも先にやっていただいて、実態を把握するとともに課題を洗い出していただけたらと思う。こうした国会のルールは議員の先生にしか変えられない。どんなによい議論をして政策を決めても、実際に手を動かす『霞が関』が機能不全に陥っては、結局国民に迷惑がかかるのだから、危機感を共有していただいて、各党の先生方にルール作りを議論するテーブルについていただくことが重要だ」と訴える。

 国会ではタブレットやスマートフォンの持ち込みは禁止されている。だがデジタルの時代のいま、タブレットの持ち込みが認められれば、現在、大臣などが答弁に対応するために準備しているメモや資料の前日深夜の大量コピーという無駄な仕事がなくなる。紙資源の節約やコピー経費の無駄も省ける。委員会前の早朝に行われる大臣との答弁に向けた勉強会で修正指示が出ても、修正したメモを慌ててコピーする必要もなくなる。

 民間企業では当たり前になっていることが、『永田町』では「資料は紙で持参するか、FAXで送信してくれないと困る」などといった時代錯誤的な反発があるのが不思議である。「FAXで送られると、誰かがそのデータを入力する手間がかかる。データ化しておけば最新情報を瞬時に送信することもできる。国会議員の多くは、有権者への情報提供に選挙期間中はSNSなどを利用しているにもかかわらず、日常の業務では、依然として紙に頼るなど遅れている」と話す。

 この問題は10年以上前から度々話題に上るが、こうした課題は数年前から与野党に要望してきているにもかかわらず、なかなか前に進んでいないのが現状だ。与野党は政治的な駆け引きは抜きにして無駄な事務作業をなくすよう真摯に話し合うべきではないか。

多忙な上司

 「10数年前は、職場で雑談するくらいの余裕はあったし、課長や課長補佐クラスの上司が食事に誘ってくれたりして、仕事の意味を教えてくれたり悩み事を聞いてくれるだけの時間があった。上司や先輩が話を聞いてくれれば、自分を見てくれている人がいると思い、つらい仕事もある程度我慢してできたが、いまは上司も国会議員や関係者への説明や打ち合わせで席にいない時間が多く、部下とコミュニケーションする時間的余裕がなくなった」と打ち明ける。

 「今の霞ヶ関は若い人がどんどん辞めていくので、人手が足りず自転車操業だ。私がいた部署でも、50代の局長が自宅での作業を含めて1日20時間くらい働いていることもざらだった。このままでは最低限やらなければならない仕事すら回らなくなる」と話す。

 上司が仕事に追われていると、部下もそれ以上に忙しく働かざるを得なくなる。これに災害などに緊急対応や不祥事が重なったりすると、ただでさえ組織に余裕がない中で、一気に業務量が跳ね上がり体を壊す職員が後を絶たないという。

 厚労省の場合、この数年振り返ってみると、年金不正問題、障害者雇用人数水増し放置、毎月勤労統計の数字ミス、今回の新型肺炎などなど不祥事や緊急対応が頻発している。しかも国民生活に直接関係する分野が多く、一つ間違えるとマスコミにたたかれるなどして、精神的にもタフでないと厳しい状態になりがちだ。

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